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人間の里
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村紗 水蜜:
これで、聖に頼まれたお使いも終わりですね。
他にやることもないし、帰りますか。……ん?
魂魄 妖夢:
う、うーん……。
村紗 水蜜:
貴方は……白玉楼の庭師さん? 白玉楼では、
荷物に埋もれて寝るのが流行りなのかしら?
魂魄 妖夢:
そんなわけないでしょう!
荷物を崩してしまっただけです!
村紗 水蜜:
それは大変。大八車いっぱいとは……。
大層な量だけど、お祭りでもあるのですか?
魂魄 妖夢:
ええ、また幽々子さまの急な思いつきで……。
白玉楼の妖怪や幽霊をねぎらう、宴を開くのです。
魂魄 妖夢:
……おっと、のんびりしていられません。
宴は今夜なのです。急がないと!
村紗 水蜜:
急ぐのはいいけど、上手くまとめられるの?
さっきも盛大に崩していたようだけど。
魂魄 妖夢:
う……。実は、もう3回も崩しているんです。
縄で荷物をまとめるの、意外と難しくて……。
村紗 水蜜:
そういうことなら、ちょっと
その縄を貸してもらえますか?
村紗 水蜜:
こんな感じでどうです? 荷物が動くほど
きつく締まる結び方にしておきました。
魂魄 妖夢:
す、すごい……!
こんなに手早く、しかもしっかりと!
村紗 水蜜:
フフ。少しでも船に馴染みがある者なら、
これくらいのことは朝飯前ですよ。
魂魄 妖夢:
ありがとうございます! 何かお礼を……。
そうだ! よかったら、今夜の宴に来ませんか?
村紗 水蜜:
あら、嬉しいお誘い。でも……、うーん。
ごめんなさい。やめておきます。
村紗 水蜜:
つい最近、怒られてしまったばかりなんですよ。
戒律を、あまり破るなって。
魂魄 妖夢:
そうでしたか……。それは残念です。
では、お礼はまた別の機会にでも。
村紗 水蜜:
ええ。とはいえ暇なので、まだ手伝いますよ。
この量を一人で運ぶのも、大変でしょうから。
魂魄 妖夢:
本当ですか? 助かります!
実は、これでもまだ、ほんの一部でして……。
村紗 水蜜:
あれ、そうなんですか?
魂魄 妖夢:
ええ。白玉楼は、大酒飲みばかりで……。
これと同じ量の大八車が、あと3つも。
村紗 水蜜:
そ、そんなに……!?
村紗 水蜜:
……いえ、乗りかかった船です。
こうなれば、最後までお付き合いします!
村紗 水蜜:
(うーん、こんなに大仕事になるのなら、
素直にお呼ばれしても、よかったのかな……)