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魔法の森
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村紗 水蜜:
おや、あれは……?
村紗 水蜜:
わっ! 天狗の新聞屋さん!
相変わらず、すごいスピードだなあ。
射命丸 文:
こんにちは、聖輦船の船長さん!
何か記事にできそうなネタは、ありませんか?
村紗 水蜜:
……え? ネタを見つけたから、
猛スピードで急いでいたのでは?
射命丸 文:
いえいえ。急いでなんてないですよ。
ただ、移動時間なんて短い方がいいでしょう。
村紗 水蜜:
そうですか? ゆっくり移動するのだって、
悪くないですよ。
射命丸 文:
うーん、無駄な時間が増えるだけという気が
するのですが……。
村紗 水蜜:
例えば、遊覧船を見てください。
村紗 水蜜:
実にのんびりと飛ぶでしょう?
ですが、遊覧船はいつも千客万来です。
射命丸 文:
むむ、そうですね……。
しかし、ゆっくり飛ぶことに、どんな意味が?
村紗 水蜜:
素早く飛んだのでは、見えない景色がある。
人々は、そういうものを求めているのですよ。
村紗 水蜜:
ゆったりと流れる景色を眺めていると、
新しいアイデアも浮かびやすいものです。
村紗 水蜜:
普段は見えないものに、新しいアイデア。
よい記事を書くのに必要ですよね。どちらも。
射命丸 文:
なるほど……確かに。
それは、一理あるかもしれません。
村紗 水蜜:
物は試しです。ネタに困っているのなら、
いつもと違うことをしてみては?
射命丸 文:
そうですね。新鮮なネタ探しのためにも、
しばらくゆっくり飛んでみることにします!
射命丸 文:
アドバイス、ありがとうございました。
なんだか興奮してきました! それでは!
村紗 水蜜:
え、はや……っ!?
私のアドバイスの意味は……!?
村紗 水蜜:
……ふふっ。まあ、ゆっくり飛ぶのなんて、
あの新聞屋さんには、似合いませんよね。