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聖輦船
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村紗 水蜜:
ふう……。なんでしょうね、このモヤモヤは。
聖 白蓮:
村紗、ごきげんよう……あら?
浮かない顔ですが、どうしました?
村紗 水蜜:
ああ、聖。特に何も……。
しいて言うなら、少し暇だなと。
村紗 水蜜:
船は自動操縦で私がやることはないし、
人間にちょっかいを出すのも控えているし。
村紗 水蜜:
貴方は最近入門者の対応で忙しいし、
私一人、どうも手持ち無沙汰というか……。
聖 白蓮:
よくない傾向ですね。暇とは、退屈。
退屈とは、仏道から退いて屈することですから。
村紗 水蜜:
仏道のことは気にしてないですけど、暇すぎて
気が晴れないのは確かかもしれません。
聖 白蓮:
それなら、寺子屋で歴史を学んでみてはどう?
村紗 水蜜:
寺子屋って、人間の里の? 勘弁してください。
授業が難しすぎるって噂じゃないですか。
聖 白蓮:
では、霧の湖で釣り船屋を営んでみる!
というのは?
村紗 水蜜:
人間のために働けってことですか?
あまり気乗りしませんね。
聖 白蓮:
うーん、それなら……。
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30分後
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村紗 水蜜:
あはは! もう聖ってば! 暇つぶしのために
異変を起こすなんて、さすがに……。
聖 白蓮:
ふふ、冗談ですよ。
しかし、なかなか良い案が見つかりませんねえ。
村紗 水蜜:
そうですね。
まあ、暇が原因で死ぬってわけでもないし……。
村紗 水蜜:
(あれ? すごく気持ちが軽い……?
ちょっと話しただけなのに……、そっか)
村紗 水蜜:
聖、ありがとうございます。
今日はもう十分、暇をつぶせました。
聖 白蓮:
え、そうですか?
村紗 水蜜:
はい。よかったら、また付き合ってください。
聖 白蓮:
もちろんです。なら、その時までに、
最高の暇つぶしを考えておきますよ。
村紗 水蜜:
ふふっ、楽しみにしていますね!