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人間の里
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寅丸 星:
こんにちは。
貴方はたしか、紅魔館の門番さん、でしたっけ?
紅 美鈴:
貴方は……たしか、命蓮寺の。
里まで下りてきて、おつかいですか?
寅丸 星:
まあ、そんなところです。
他の用事も頼まれているので、そのついでに。
紅 美鈴:
大変ですねぇ。かくいう私も、
夕飯の材料を買いに行けと、急に言われまして。
紅 美鈴:
「どうせ暇だから」って頼まれちゃいました。
こっちだって、けっこう忙しいのに……。
寅丸 星:
まあ、ご多忙なのですね。
具体的に、どんなお仕事を?
紅 美鈴:
えーと、昼寝……じゃなくて。イタズラ妖精の
相手をしたり、太極拳の稽古をしたり、ですかね。
紅 美鈴:
花壇の世話もあるし、色んな人から雑用を
押し付けられたり、もうてんてこまいですよ。
寅丸 星:
なるほど……。
ですが、任されるということは信頼の証。
寅丸 星:
貴方が頼れる存在だからこそ、
館の皆さんは、仕事を任せるのでしょうね。
紅 美鈴:
ふむ……。まあ確かに、私は強くて器量も良いし
冷静沈着で頼りになりますが……。
寅丸 星:
そうでしょうとも。きっと皆さんは、
貴方の働きぶりに、感謝していますよ。
紅 美鈴:
そ、そうかな。まあ、私にしてみれば
大したことではないですがね!
里の人間A:
おいっ!
あそこにいるのは、毘沙門天様じゃないか!?
里の人間B:
ほんとだわ! 毘沙門天様~!
ぜひ、説法をお説きください~!
里の人間C:
毘沙門天様ー!
以前のお話を実践して、生活に変化が……。
寅丸 星:
み、皆さん。落ち着いてください。
お話は、お一人ずつ聞きますので……!
紅 美鈴:
……あっという間に、連れてかれちゃったわね。
紅 美鈴:
いいなぁ。私も、あんな風に
館のみんなに慕われたいものだわ……。