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守矢神社
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聖 白蓮:
まあ、珍しいわね。
守矢神社に、参拝客が全然いないなんて。
東風谷 早苗:
そうなんです。今朝、ロープウェイが故障しちゃって、
みなさん、来られなくなっちゃったんですよ。
東風谷 早苗:
困ったなあ……。ロープウェイのかわりに、
転送装置があれば、参拝も楽なのに〜。
聖 白蓮:
なんです?
その転送装置というのは。
東風谷 早苗:
はい。転送装置というのは、目的地まで一瞬で
移動できちゃう、とっても便利な機械なんです!
東風谷 早苗:
まず人をデータに分解して目的地まで転送し、
そのデータから元の人を復元する仕組みなんです。
聖 白蓮:
なんだか、すごい機械ですが……。それは、
転送に失敗したりすることはないのですか?
東風谷 早苗:
え? そ、それは……。
どうなんでしょうねー。
聖 白蓮:
たとえば魂の転送に失敗したら、
本人を復元したとは言えないでしょうし……。
聖 白蓮:
それでは魂の抜けた、肉体だけの虚ろな存在が
再生産されてしまうことになりませんか?
東風谷 早苗:
ま、まあ……。そういうことも、
なくはないでしょうけれど……。
聖 白蓮:
または、転送中に別の魂が入りこんでしまい、
中身が別人になる可能性もありえるのでは?
聖 白蓮:
様々な仮説を立てると、転送装置というのは、
なかなかに危険なものだと言わざるを得ません。
東風谷 早苗:
んも~、そんな心配、ナンセンスですよ。
科学に犠牲はつきもの、というではないですか。
東風谷 早苗:
もし転送事故にあってしまった方がいたら、
神社で盛大に供養して祀りますから!
聖 白蓮:
物騒な話ですね……。
好きも度が過ぎれば狂気とは言いますが……。
聖 白蓮:
分かりました。ロープウェイが直るまで、
こちらの参拝客は、私の船が導くとしましょう。
東風谷 早苗:
え? ここまで連れてきてくれるのですか!
商売敵なのに、ありがとうございます!
東風谷 早苗:
……って言ってたのに、
話が違うじゃないですか~!
聖 白蓮:
犠牲はつきもの、と信者を切り捨てるような
発言をする巫女に人々をまかせてはおけません。
聖 白蓮:
参拝客の皆様は、このまま命蓮寺の修行場へ
お連れさせていただきますよ!
東風谷 早苗:
そ、そんなぁ~っ!
あれは冗談ですから、戻ってきてぇ~!