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里の外れ
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豊聡耳 神子:
講演に熱が入りすぎたな。すっかり
暗くなってしまった。急いで帰らなくては。
豊聡耳 神子:
おや、流れ星とは珍しい。
せっかくだし、何か願いごとでも……。
豊聡耳 神子:
うん? 流れ星にしては、やけに明るかったな。
それに、ずいぶん大きい……。様子を見に行くか。
豊聡耳 神子:
方向からして、この辺のはずだと思うのだが……。
おや? あそこにいるのは……?
霧雨 魔理沙:
うーむ、まだまだスピードが足らない……。
よし、もう一回練習するか。
豊聡耳 神子:
もしや、さっきの流れ星の正体は、君か?
霧雨 魔理沙:
誰だ!? っと、あんたか。
見られてしまっては仕方ない。口封じだな。
豊聡耳 神子:
物騒なことを。特訓をしているなんて、
殊勝な心掛けは知られたくなかったか?
霧雨 魔理沙:
ああ、そうだよ。わかってるんなら、
見なかったことにして、帰ってくれないか?
豊聡耳 神子:
おや、せっかくだから応援しようかと思ったんだが。
仙人の目から見て、色々手伝えると思うぞ?
霧雨 魔理沙:
珍しい仙薬とか、不老不死の方法のことか?
そいつは確かに魅力的な話だ。
霧雨 魔理沙:
でも、手伝いは不要だよ。
私は、私のやりたいように進みたいからな。
豊聡耳 神子:
それは残念だ。君みたいな努力家が、
うちの弟子だったら大歓迎なんだが。
霧雨 魔理沙:
だから言ったろ、見られるのが嫌だって。
大勢で集まって修行なんて、冗談じゃない。
豊聡耳 神子:
頑なだな。どうして、そこまで嫌がる?
霧雨 魔理沙:
私は、負けるのが嫌いでね。
だから正直、努力もしたくはないんだ。
霧雨 魔理沙:
だって努力するってことは、他人に
負けてる部分があるって認めているってことだろ。
霧雨 魔理沙:
自分が負けを認めているところなんて、
見られたくないに決まっているじゃないか。
豊聡耳 神子:
なるほど。ますます応援したくなるな。
君は、根っからの努力家というわけだ。
豊聡耳 神子:
そうやって成長を続けている限り、
君は誰にも負けないよ。
豊聡耳 神子:
もし必要なら、道場を貸してやる。
もちろん人払いもしておこう。
霧雨 魔理沙:
なかなか、しつこい勧誘だな。
まあ、必要になったら借りにいくよ。
霧雨 魔理沙:
それと、私は努力家なんて結構なもんじゃない。
勝つまでやれば負けないと思っているだけだ。
豊聡耳 神子:
なるほど、一理ある。さて、私はそろそろ帰るよ。
次の勝利まで頑張ってくれ。