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紅魔館・食堂
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豊聡耳 神子:
さて……、味見役として招かれたわけだが、
誰もいないな。早く着きすぎたか?
十六夜 咲夜:
いえ、時間通りです。
ようこそ、お越しくださいました。
十六夜 咲夜:
本日は、紅魔館のレストラン開業計画へのご協力、
感謝しますわ。どうぞ、席にお座りください。
豊聡耳 神子:
こちらこそ、ご指名いただけて光栄だ。
しかし、味見役は私でよかったのか?
十六夜 咲夜:
ええ。普段、料理をふるまっている相手より、
味の好みを知らない人の意見がほしかったので。
十六夜 咲夜:
ですから遠慮なく、忌憚なきご意見を
いただければと思います。
豊聡耳 神子:
なるほどな。ならば、喜んで引き受けよう。
もちろん、感想も厳しくいくからな。
十六夜 咲夜:
はい。では、前菜から順に、お持ちいたします。
豊聡耳 神子:
いやあ、どの料理も美味だった!
ケチのつけようもないくらい、完璧だ!
十六夜 咲夜:
ありがとうございます。では、コースの最後に、
デザートと紅茶をお持ちしました。
豊聡耳 神子:
おお、これも美味しそうなケーキだな。
紅茶も実にいい香りだ。
十六夜 咲夜:
その紅茶は、私特製の創作紅茶です。
飲むと、魔法のように味が変わるんですよ。
十六夜 咲夜:
味はその日、その人によって変わりますから、
ぜひ楽しんでいただければと。
豊聡耳 神子:
なるほど、それは面白い試みだな。では早速……。
ん? 美味しいが、味は普通の紅茶だぞ?
十六夜 咲夜:
その状態で、ケーキを食べてみてください。
きっと驚きますよ。
豊聡耳 神子:
どれどれ、いただきます……。
むむ? こ、この味は!?
豊聡耳 神子:
さっき食べたハンバーグ!? い、いや、
食感はケーキだが……、なんだこれは!?
十六夜 咲夜:
ふふ、実は、その紅茶に使った葉は、
過去に食べた味を、口の中に再現するんです。
豊聡耳 神子:
おお……、しかも、味が変わるのか。
これは、うっ、サラダか……。
十六夜 咲夜:
そうなんです。時間が経つと味が変わります。
面白いでしょう?
豊聡耳 神子:
いや、面白いことは面白いんだが……。
やはりケーキは、ケーキ味で食べたかったぞ。