--------------
妖怪の山
--------------
二ッ岩 マミゾウ:
妙に騒々しいと思ったら、やはり河童の仕業か。
また何か造っておるのか?
河城 にとり:
ああ。もう少しで完成するんだが……
やっぱ、こいつを取り付けなきゃだめか。
二ッ岩 マミゾウ:
なんじゃなんじゃ。
ずいぶん不格好な機械じゃのう。
河城 にとり:
そうなんだよ。演算ユニットの排熱がすごくて、
しっかりした冷却装置が必要でさ。
河城 にとり:
バランスが悪すぎるんだけど、
これ以上の小型化は難しくって……。
二ッ岩 マミゾウ:
ふーむ。そいつは、
他の手を考えるべきやもしれんな。
二ッ岩 マミゾウ:
小さい冷却装置で済むように、
負荷を減らす工夫をするとかのう。
二ッ岩 マミゾウ:
ほれ、たとえば、このセンサーの
読み取り範囲を狭めたりしてみてはどうじゃ?
河城 にとり:
お、おお……。確かに! そもそもの処理を
軽くすればいいってわけだな!
河城 にとり:
この工程を半分に省略して、こっちの回路を……
よし、行ける。行けるぞ!
河城 にとり:
いやー、アドバイス感謝するよ! おかげで
よりスタイリッシュな発明になりそうだ!
二ッ岩 マミゾウ:
ふぉっふぉ。ところでなんじゃが……、
これは、いったい何を作っておるんじゃ?
河城 にとり:
知らずにアドバイスしてたのかよ!
まぁいい、教えてやる。聞いて驚くなよ。
河城 にとり:
これは革新的発明、その名も
「生体認証システム搭載・防犯ゲート」だ!
二ッ岩 マミゾウ:
なんじゃ、不穏な響きじゃのう。
河城 にとり:
この生体認証システムがあれば、どんな変装も
一目瞭然! たちまち正体を暴いてしまうのさ!
河城 にとり:
これを自動で開閉する扉と組み合わせることで、
最強の門番が完成するってわけだ!
河城 にとり:
盗人や妖怪に困っている人間の里でなら、
爆売れ間違いなし! さ~て、開発だ開発だ♪
二ッ岩 マミゾウ:
空恐ろしい発明じゃな。もし普及すれば、
儂の変化が通用しなくなるかもしれん。
二ッ岩 マミゾウ:
狸だけは通れるよう、細工を施しておこうかの。
河童が油断している今が好機じゃ!