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迷いの竹林
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二ッ岩 マミゾウ:
不老不死というのも、さぞ退屈じゃろう。
変化の術でも教えてやろうか?
藤原 妹紅:
旦那みたいに、いくつもの顔に成りきれるなら、
永い人生も飽きないだろうな。
二ッ岩 マミゾウ:
そうじゃ。儂も相当生きておるが、
このイタズラだけはやめられん。
藤原 妹紅:
ひとつ質問なんだけど……、
胡蝶の夢って知っているか?
二ッ岩 マミゾウ:
胡蝶の夢……。
どこかで聞いた覚えがあるのう。
藤原 妹紅:
ある時、男は蝶になる夢を見て、目が覚めた。
すると、わからなくなっていたんだ。
藤原 妹紅:
自分が夢で蝶に変身していたのか、それとも
蝶が今、自分になっている夢を見ているのか。
二ッ岩 マミゾウ:
ああ、思い出したぞ。夢と現実が入り混じることの
例え話じゃな。しかし、なぜその話を?
藤原 妹紅:
いや、旦那はいろんな者に化けるだろう?
その後、ちょっとでも思ったりしないか?
藤原 妹紅:
果たして自分はマミゾウなのか、それとも
マミゾウに化けている、別の何かなのか……。
二ッ岩 マミゾウ:
お前さんは、また難しいことを考えるのう……。
藤原 妹紅:
考える時間は、たくさんあるからな。
二ッ岩 マミゾウ:
う~む。しかし儂が誰であれ、マミゾウとして
生きるのが、性に合っとるもんでなぁ。
二ッ岩 マミゾウ:
退屈せずに生きられるのであれば、それが
他人の顔だろうが、夢だろうが儂は構わんよ。
藤原 妹紅:
なるほど。その能天気さ、
長生きの上では見習った方がいいかもな。
二ッ岩 マミゾウ:
ふぉっふぉ。その通りじゃ。
考えてばかりでは、生きるのが億劫になるぞ。