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旧都
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二ッ岩 マミゾウ:
ふぉっふぉっふぉ。買えた買えた♪
子分たちに、いい土産ができたわい。
吉弔 八千慧:
おや? その包みは……。
一日限定5品の、高級温泉まんじゅうでは?
二ッ岩 マミゾウ:
あぁ。運良く最後のひとつを買えてな。
ふふふ……。うらやましいじゃろう?
吉弔 八千慧:
もしよかったら、譲っていただけませんか?
元値の2倍……いえ、5倍は払いますよ。
二ッ岩 マミゾウ:
悪いが譲れんな。土産物屋の店主曰く、
今日限りで販売を終了するらしいし……。
吉弔 八千慧:
それは残念ですねえ。
他の組との会合に持っていきたかったのに。
二ッ岩 マミゾウ:
というわけじゃから、儂はこの辺で……。
吉弔 八千慧:
そういえば先ほど、
貴方の子分たちを見かけたのですが……。
吉弔 八千慧:
狸汁なんて、会合で出したら
喜んでもらえそうだと思いません?
二ッ岩 マミゾウ:
……なんじゃ? まさか、おぬし
儂を強請っておるのか?
吉弔 八千慧:
ふふ、さあどうでしょう。
二ッ岩 マミゾウ:
フン。会合で出す料理なら、
儂にも、いいアイディアがあるぞい。
二ッ岩 マミゾウ:
鹿肉のステーキじゃ。鹿肉はヘルシーじゃし、
他の組のやつらは、さぞ喜ぶことだろう。
吉弔 八千慧:
ふっ……ふふっ……。冗談がお上手なようで。
まあ、狸汁はやめにしておきましょう。
二ッ岩 マミゾウ:
そうそう。別の土産物屋でな、温泉で蒸した
肉まんを期間限定で販売しているそうじゃ。
二ッ岩 マミゾウ:
そっちは、まだ残っていた気がするな。
今から行けば、間に合うと思うぞい。
吉弔 八千慧:
……それはいいことを聞きました。
感謝しますね。狸の頭領さん。
二ッ岩 マミゾウ:
いやはや。穏やかな笑顔の裏に、
底知れぬ敵意を秘めてるやつじゃったな。
二ッ岩 マミゾウ:
あー怖い怖い。儂のようなか弱い妖怪では、
ああやって追い払うんが精一杯じゃ。
二ッ岩 マミゾウ:
さっさと地上に帰って、
子分たちと温泉まんじゅうを楽しむかね。