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人間の里
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鬼人 正邪:
せっかく里に来たんだし、その辺で
一杯やるとするかな……ん? なんだこりゃ。
鬼人 正邪:
守矢の分社か? ほう、お供え物に
果物の盛り合わせとは、なかなか豪勢だな……。
古明地 こいし:
待ちなさーい!
鬼人 正邪:
あ? なんだお前?
古明地 こいし:
アナタがお供え物泥棒ね。悪い子は、
私が、おしおきしちゃうよー!
鬼人 正邪:
はあ? なんだそりゃ……いや、待てよ?
鬼人 正邪:
ふっふっふ……。そうだ。私が世間を騒がす、
お供え物泥棒、鬼人正邪さまだぁ!!
古明地 こいし:
あっ、狐の親子。
鬼人 正邪:
あ?
古明地 こいし:
みんな、どこから来たのー……って、あらら!
狐さんたち、お供え物を食べちゃった。
鬼人 正邪:
おいこら、狐ども!
それは私のお供え物だぞ!
古明地 こいし:
あれー? この歯形……。ほかの分社に
残されてたものと同じ? ということは……。
古明地 こいし:
そっかー! お供え物泥棒の真犯人は、
この狐さんたちだったのね。
鬼人 正邪:
は、はあーっ!? いやいや!
真犯人は、私だって言ってるだろ!
古明地 こいし:
あなた知ってたんでしょ? 食べざかりの子供と
お母さん狐を気づかって、身代わりになったのね。
鬼人 正邪:
な、なんでそうなる……。
古明地 こいし:
よしよーし。よかったねー狐さん。
天邪鬼さんがいい人で、優しくてねー。
鬼人 正邪:
ち、違うと言うのに……。なぜだ!
なぜ嘘をついたのに、感謝されねばならんのだあーっ!