--------------
白玉楼
--------------
鬼人 正邪:
やれやれ、おめでたい連中だ。これから私に
ひっくり返されるとも知らずに……くくく。
鬼人 正邪:
だが、その前に……、せっかくだから料理でも
いただくとするか。おっ、これはうまそうな……。
西行寺 幽々子:
こら。
西行寺 幽々子:
コソコソと隠れてると思ったら、
盗み食いだなんて、つまんない子ね。
鬼人 正邪:
ちっ、バレてたのか。
西行寺 幽々子:
まったくもう……。
あなた、一応レジスタンスの頭領なんでしょう?
西行寺 幽々子:
いわば、悪のカリスマじゃない。それなら
もっとカリスマらしい振る舞いをしなさいな。
鬼人 正邪:
ふんっ、余計なお世話だ。
西行寺 幽々子:
そういうところよ。イチイチ反応しないで、
何があっても何を言われても、堂々とするの。
西行寺 幽々子:
たとえば、そうねぇ……。あそこのそば皿を、
頭に十段載せても平気な顔してるくらいじゃなきゃ。
鬼人 正邪:
じゅ、十段……。
いいぜ、やってやるよ!
鬼人 正邪:
くっ、お、おも……!
しかし、ここで、落とすわけには……!
西行寺 幽々子:
そんなフラフラしてると、そばが落ちちゃうわよー。
ほらほら、背筋伸ばして、しゃんと立ちなさーい。
鬼人 正邪:
くそぉ、この……っ。ふー、ふー……。
うおおおおーっ! ふんっ!
鬼人 正邪:
おっしゃー! おい! 見たか!
やってやったぞー!
西行寺 幽々子:
すごいわー!
まさか本当にできちゃうなんて。やるじゃない。
西行寺 幽々子:
はい。それじゃ、もう帰っていいわよ。
鬼人 正邪:
へ? お、おい、待て!
どういうことだよ!?
西行寺 幽々子:
カリスマがどうとかなんて、ぜーんぶ冗談。
誰かに余興をやってもらいたかっただけなの。
西行寺 幽々子:
なかなか面白かったわよ。
ありがとね、悪のカリスマさん?
鬼人 正邪:
つ、つまり、私は口車に乗せられ、ただの余興を?
あっ、しまった! バランスが……っ!?
鬼人 正邪:
あいたたたたたたっ!
くっそぉー、覚えてろよ~っ!