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人間の里
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宇佐見 菫子:
たまには、こうやってお茶を飲みながら
のんびりするのもいいなぁ……。あっ!
宇佐見 菫子:
こんにちは、妖夢さん!
もしよかったら、一緒にお茶でもどう?
魂魄 妖夢:
あら、いいですね。ぜひ、ご一緒させてください。
宇佐見 菫子:
ねえねえ、妖夢さん。私、冥界について
ちょっと興味があるんだけど……。
魂魄 妖夢:
そうなんですか? 冥界は、死者の霊がたくさん
いるだけで、あんまり面白くないと思うけど……。
宇佐見 菫子:
えっ、幽霊がたくさん!?
そ、それはちょっと、怖そうだなぁ……。
魂魄 妖夢:
別に怖くはないですよ。みんな、
のんびり冥界観光を楽しんでるだけなので。
宇佐見 菫子:
へぇ〜、幻想郷の幽霊って、そんな感じなのか。
私が知っているのと、全然違うなぁ。
魂魄 妖夢:
外の世界では違うんですか?
宇佐見 菫子:
うん。幽霊がたくさんいるような場所は、
心霊スポットって呼ばれていてね。
宇佐見 菫子:
いない人のうめき声が聞こえたり、霊に憑かれたり、
色々怖いことが起こるから、恐れられてるんだよ。
魂魄 妖夢:
な、なるほど。霊に取り憑かれる……。
それは霊というより、もはや怨霊なのでは。
宇佐見 菫子:
こっちでも怨霊って呼ぶんだ〜! あ、それでね、
怨霊が人を憑り殺したって話があるんだけどね。
宇佐見 菫子:
今から1年くらい前だったかな。自殺の名所って
言われてた場所に、私も行ってみたことがあって……。
宇佐見 菫子:
で、目を合わせちゃったその人は、
幽霊に取り憑かれて死んじゃったんだって。
宇佐見 菫子:
それでね、未練が強すぎる幽霊は、
現世を彷徨って人を呪い続けるらしいんだけど。
宇佐見 菫子:
そうなっちゃうと成仏できないって、本当?
魂魄 妖夢:
え、えっと……。成仏するには、地獄で正式な
裁きを受ける必要があって、その……。
宇佐見 菫子:
へぇ〜。やっぱりちゃんと、ルールがあるんだね。
じゃあ、次の話はね……。
魂魄 妖夢:
あ、あのっ! すみませんが私、
急用を思い出したので、これで失礼します!
宇佐見 菫子:
えっ、ええっ!? ……うーん、
いったいどうしちゃったんだろう?
宇佐見 菫子:
あ、もしかして、妖夢さんって、
怖い話がダメなタイプだったのかも……?