-------------- 永遠亭 -------------- ドレミー・スイート: あそこにいるのは……鈴仙ですね。 ……ふむ。やっぱり、怯おびえているみたい。 ドレミー・スイート: もしもし、ちょっとよろしいでしょうか。 鈴仙・優曇華院・イナバ: あわわっ、ごめんなさい! ……って、なんだ。貴方だったのね。 ドレミー・スイート: もしかして今、 誰かに怒られるんじゃないかと思ってますか? 鈴仙・優曇華院・イナバ: えっ、どうしてそれを? そうなの……まさに、その通りなのよ! 鈴仙・優曇華院・イナバ: 波長を操る練習してたら、師匠の薬瓶を 巻き込んじゃって……パリンって割れちゃったの。 ドレミー・スイート: ああ、なるほど……。 それを、恐くて言い出せずにいたんですね。 鈴仙・優曇華院・イナバ: そうそう。師匠、鬼の形相ぎょうそうで犯人捜ししててさ。 もう、どうしたらいいのか……。 ドレミー・スイート: (だから、夢の世界の二人は、  あんな様子だったのね) ドレミー・スイート: それ、さっさと謝っちゃったほうがいいですよ。 その方、貴方が犯人だとご存じですから。 鈴仙・優曇華院・イナバ: え……なんで!? ドレミー・スイート: お師匠様でしたか? 夢の世界でおっしゃっていましたよ、 貴方が謝りにくるのを待っているようですねえ。 ドレミー・スイート: 夢の世界は、その人の本心が現れる場所。 素直に謝るのが一番だと思いますよ。 鈴仙・優曇華院・イナバ: そんなぁ、知ってたなんて……。 う~、こっぴどく叱られるわぁ……。 ドレミー・スイート: それなら、きっと大丈夫ですよ。 夢の中であの方は、怒ってはいませんでした。 ドレミー・スイート: 謝っても余計に怒られるような心配は、 ないんじゃないですか。 鈴仙・優曇華院・イナバ: ……その言葉を信じて、謝るしかないか。 -------------- 数分後 -------------- 鈴仙・優曇華院・イナバ: すごい! 貴方の言った通りだったわ! 私の口から謝ってほしかっただけなんですって! 鈴仙・優曇華院・イナバ: 貴方がいなければ、もっと悪い状況に なってたかもしれないわ。ありがとう! ドレミー・スイート: いえいえ。お役に立てて、何よりです。 鈴仙・優曇華院・イナバ: ところで、夢の世界の私って、 どんな感じだったの? ドレミー・スイート: うわーん、師匠~~! ごめんなさい、ごめんなさ~~い! ドレミー・スイート: ……と、こんな感じでした。 鈴仙・優曇華院・イナバ: は、恥ずかし……。いくら感情を抑えても、 夢の世界では嘘をつけないのね……。 ドレミー・スイート: 別に恥ずかしがることはありませんよ。 それが貴方の本心なんですから。 鈴仙・優曇華院・イナバ: そう、そうなのよね……。 割り切って過ごしていくわ……。