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妖怪の山・上空
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稀神 サグメ:
(守矢神社は、この辺だったかしら?
見学しにきたけど、場所がわかりにくいわね)
犬走 椛:
そこ、止まりなさい! ここは天狗の領空よ!
ここを飛ぶ目的を言いなさい!
稀神 サグメ:
(しまった。ここは飛んではいけなかったのね。
説明したいけど、喋れない……)
犬走 椛:
何も言えないの? 怪しいわね……。
稀神 サグメ:
(まずいわ。警戒されてしまった。ここは、
敵意がないことを示すため、両手を上に……)
犬走 椛:
降参するってことは、何か悪だくみを?
ん、ちょっと待って! 貴方、その羽……!
稀神 サグメ:
(……羽? 私の羽が、どうかしたの?)
犬走 椛:
貴方、羽が片方なくなってるじゃないですか!
そんな状態で、ここまで来たの?
稀神 サグメ:
(そうか。私の羽を見て、ケガ人と思ったのね。
別にケガはしてないけど、どう伝えれば……)
犬走 椛:
こんな所にいたらダメ!
私が地上まで連れていきます!
稀神 サグメ:
(待って待って! それって、
神社から離れるってことじゃない!?)
犬走 椛:
話せないほど辛かったのね……。
急いで行くから、もう少し我慢してて!
稀神 サグメ:
(違う! そうではない!
ああ! でも何も言えない!)
犬走 椛:
永遠亭から、先生を呼んでおいたわ。
あとは、待ってれば大丈夫だからね。
稀神 サグメ:
あ、ありがとう……。
犬走 椛:
今度は、ちゃんと索道を使って、
無理に飛ばないこと。それじゃあ、お大事に!
稀神 サグメ:
(結局、ここまで戻されてしまった……。
仕方ない。言われた通りにしましょう)
稀神 サグメ:
(人混みは避けたいけど、
また善意で連れ戻されたら、申し訳ないしね)