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迷いの竹林
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クラウンピース:
ふっふっふ。今日は、待ちに待った十五夜。
てことは、ついにアレが手に入るんだな。
クラウンピース:
そう! 風の噂で聞いた、アレ。
永遠亭でのみ作られるという、幻の七色団子!
クラウンピース:
さーて、屋敷はすぐそこだ。
うまく忍び込んで、ササッといただくぞー。
稀神 サグメ:
……待ちなさい。
クラウンピース:
おまえは……、月の奴か!?
ご主人様の敵が、なんでこんな所に。
稀神 サグメ:
それは、私のセリフ。
地獄の妖精が、幻想郷で何をしているの?
クラウンピース:
えー? あたいは、アレが欲しくて来ただけ。
ほら、永遠亭にしかない、七色でまぁるいアレ。
稀神 サグメ:
七色で、丸い……?
稀神 サグメ:
(それって、蓬莱の玉の枝よね?
たしかに永遠亭にあると聞いたけど……)
稀神 サグメ:
……それを手に入れて、
いったいどうするつもりなの?
クラウンピース:
どうって……、食べるんだけど?
稀神 サグメ:
(た、食べる……!?
たしかに実ではあるけど、あれは宝玉よ?)
稀神 サグメ:
その。アレは、観賞するものでは……?
クラウンピース:
(観賞……? ああ、たしかに、
十五夜の団子って、わざと外に飾るもんな)
クラウンピース:
あたいは、あれは好かないね。
だって、すぐ食べた方が、絶対においしいもん。
稀神 サグメ:
で、でも。永遠亭のアレは、姫が千年以上かけて
大切にしてきたものよ。それを食べるなんて……
クラウンピース:
千年!? な、なんでそんなことを……。
月の民は、おなか壊したがりなのか?
稀神 サグメ:
だから、食べないんですって。まあ、食べたら
おなかを壊すのは、その通りだと思いますけど……。
クラウンピース:
は~? だって、アレはそういうもので……。
だから……、うーーーーん……?
クラウンピース:
……あのさぁ。あたい、やっぱ帰るわ。
なんか、食欲なくなってきたし……。
稀神 サグメ:
あ、ああ、そう? それなら、とりあえず
よかった。私も、これで失礼するわ……。
クラウンピース:
(月の奴って……)
稀神 サグメ:
(地獄の妖精って……)
クラウンピース&サグメ:
(やっぱり、ものすごく変だわ……)