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人間の里 菓子処・星月屋
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純狐:
ここが貴方の話してた和菓子屋さんね。
いったい、どんな甘味をいただけるのかしら。
ヘカーティア・ラピスラズリ:
ピースいわく、あんみつが絶品らしいわよ。
今から、わくわくしちゃうわね。
ヘカーティア・ラピスラズリ:
アイスに寒天に、果物がたくさん……。
まあ! なんて豪華な、あんみつなのかしら!
純狐:
これが、この店のイチオシ、
『特製スペシャル星月夜あんみつ』……。
純狐:
黒蜜の中に、大きな白玉が一つ浮いていて……。
名前からして、これを月に見立てているのかしら。
純狐:
月。ふふふ、月…………。
純狐:
そう考えると、無事に済ませるのはシャクね。
どうしてやろうかしら?
ヘカーティア・ラピスラズリ:
水責めは? ヤツらは穢れを嫌うからね。
ほら、月みたいな白玉を沈めれば、黒蜜が染みて……。
純狐:
ふふ、まるでヤツらが穢れていくようね。じゃあ私は……
ほら、月を真っ二つにしちゃった。いい気味。
ヘカーティア・ラピスラズリ:
私は、串刺しにでもしてみようかな。
ぶすり! ふふ、穴だらけにしてやるわ。
純狐:
へカーティアがそうするなら、私はこうやって、
ヤツらを細切れにして……。
純狐:
跡形もなく葬ってあげるとしましょう。
うふふふ……。もぐ。
ヘカーティア:
う~ん、美味しい!
月を滅ぼす、甘美な味がするわ~!
ヘカーティア:
……って、やだ、純狐のあんみつ。他の具は
ぜんぶ残ってるのに、白玉だけなくなってるじゃない。
星月屋の店主:
ああ、よかったら、
白玉おかわりのサービスもありますよ。
純狐:
おかわり……。もう一回、月を滅ぼせるってことね?
ヘカーティア:
良かったわね純狐! 私もおかわりして、
地獄の女神の恐ろしさ、何回も味わわせてやるわ!
星月屋の店主:
(なんなんだろう、この人たち……。
おかわりしてくれるのは嬉しいけど……)
純狐:
真白の月が穢れ、砕かれ……。
これが本当になれば、どれほど愉快なことか。
ヘカーティア:
うっふふ、そうねえ!
月の民の慌てふためく顔、絶対に見物だわ~!
星月屋の店主:
(なんか、この2人、
ものすごく物騒じゃないか……?)
ヘカーティア:
それにしても、貴方と穏やかに過ごすのって、
なんだか変な感じねぇ。
純狐:
そうね。月には多くの因縁があるけれど、
貴方と知り合えたことは、本当に良いことだったわ。
ヘカーティア・ラピスラズリ:
ふふふ、この私が人間たちに交じって、
白玉をおかわりするなんて、ね。
ヘカーティア・ラピスラズリ:
体が3つあって、本当によかったわ。
月を何回も滅ぼせるもの。
純狐:
私も負けてられない。
あと5回は、白玉の月を片づけてやりましょう!