-------------- 妖怪の山・山道 -------------- 純狐： この辺りは、どこも 天狗たちの縄張りなのかしら……。 クラウンピース： な、なんなのよ、あんたたち！ 純狐： あら？　今の声って……。 クラウンピース： だーかーらー！　あたいは怪しくないってば！ ご主人様に言われて、調査にきただけ！ 哨戒天狗： ふん、信用できるか！　その怪しげな炎で 我々を幻惑しようとしたくせに！ クラウンピース： それはアンタたちが取り囲んだから……って、 いたっ！　ちょっと、やめてよ！ 純狐： この声……、クラウンピース！？ いったい、何があったのかしら。 クラウンピース： いたた……って、あれ？ 友人様！？　どうしてここに？ 純狐： こんなに、ケガをして……。 大丈夫？　卑俗な妖怪ともめていたみたいだけれど。 クラウンピース： そうなんですよ！　あいつら、 話も聞かずに、怪しいって決めつけてきて！ クラウンピース： ご主人様に山を調査するよう言われたけど、 これじゃあ調査にならないわ！ 純狐： ……そうだったの。 それは災難だったわね。 クラウンピース： ねぇ、友人様。月の都を攻めたときみたいに、 あたいを強くしてもらえませんか？ クラウンピース： 今より強くなれたら、あんな天狗に負けないし、 もっとご主人様の役に立てると思うんです！ 純狐： ……ピース。貴方は、純化された妖精の力で、 何をするつもりなのかしら？ クラウンピース： そりゃあもちろん、強くなったあたいの松明で、 あんな天狗たち一発で追い返してやるんですよ！ 純狐： それで、その後は？ クラウンピース： その後！？　その後はもちろん、えーっと……。 す、すっごい活躍して、みんなにほめてもらったり？ クラウンピース： でもずーっと火が強かったら、チルノの作った かき氷は食べられなくなっちゃうかなあ……。 純狐： そう。ただ力を得るだけでは、 すべての物事は解決しないのよ。 純狐： それに、ヘカーティアが配下にしたのは、 今の貴方――クラウンピースなんだもの。 純狐： 強い力を求めるより、貴方の力でできることを、 がんばったほうがいいんじゃないかしら。 クラウンピース： たしかに……！ 友人様のおっしゃる通りですね！ クラウンピース： よーし、山の調査も、まずは山の妖精に 聞いてみるところから始めてみます！ 純狐： ふふ、その意気よ。貴方の前向きなところを、 ヘカーティアもきっと買っているはずだもの。 純狐： それに、力で解決したいなら、 貴方が力を持つ必要はないわ。 クラウンピース： ちょっ、待ってください、 抑えて！　落ち着いてくださーい！