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迷いの竹林
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霧雨 魔理沙:
おっ、やっと見つけた!
こんなところにいたのか。
純狐:
あら、貴方は……。
こんな所で、珍しいわね。
霧雨 魔理沙:
ほら、これ。永琳からの届け物だ。
配達してくれって頼まれてたんだよ。
純狐:
あの月の賢者が? どうして貴方が、
彼女からの荷物を預かっているの?
霧雨 魔理沙:
えっ? いや、別に、永遠亭に侵入したところを
見つかってこき使われてる、とかじゃないぞ!?
純狐:
なるほど、罰として、
お使いをさせられているってわけね。
純狐:
さて、月の賢者は、
私に何を送ってよこしたのかしら?
純狐:
これは香炉と……。
なるほど、そういう魂胆か。ふふふ。
霧雨 魔理沙:
なんだよ、急に笑いだして。
普通の上品な香炉に見えるけど?
純狐:
ああ、香炉は確かに良い品ね。
問題はこの、賢者のお手製のお香のほう。
純狐:
特別な呪いがかかっている。焚いたら最後、
当分の間、彼女に居場所を把握されてしまうでしょう。
純狐:
こんな厄介なものが届くとは……。
まったく、信用がないって悲しいことね。
霧雨 魔理沙:
永琳のやつ、そんなものを私に運ばせたのか!?
うーん。焚く前に気づいて、よかったな。
純狐:
ま、彼女も賢者の一人。私が気づくことも
見越しての行為、でしょうね。
霧雨 魔理沙:
んん? どうして、罠だってバレるものを
送る必要があるんだ?
純狐:
牽制。いつも監視しているから
余計なことはするなと、圧力をかけているのよ。
霧雨 魔理沙:
はー……。頭のいい奴らって、
すぐにそういうややこしいことするよな。
純狐:
あら、他人事みたいな顔をしてるけど、
たぶん貴方にも関係あるわよ?
霧雨 魔理沙:
……えっ!? な、なんでだ!?
純狐:
お前が妙なことをしたら、
すぐにこの魔法使いを差し向ける……。
純狐:
たぶん、そういう意図もあるはずよ。
わざわざ貴方に運ばせたのが、その証拠。
霧雨 魔理沙:
永琳のヤツ、また人のことを駒みたいに
使いやがって……!
霧雨 魔理沙:
決めた!
今度という今度は、アイツに仕返しするぞ!
霧雨 魔理沙:
出口に滑る液体を塗っとくとか、おやつにカラシを
塗っとくとか、なんでもいいからやってやる!
純狐:
あら、いいじゃない。楽しそうね。
私も、手伝いましょうか?
霧雨 魔理沙:
えっ!? いや、それは……。
純狐:
カラシって、ツンとするやつね?
もし私の能力で純化したら……
純狐:
ふふふ。元とはいえ、月の賢者さんが痛い目を
見るところなんて……想像するだけで愉快だわ。
純狐:
ふふふ、ふふふふ……。
霧雨 魔理沙:
た、頼むから、
月のいざこざに私を巻き込まないでくれ~!