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博麗神社
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依神 紫苑:
うぅ……食べられる雑草もない……。
今日が私の最期……あれ? ここって……。
博麗 霊夢:
溜まりに溜まった洗濯物。
洗いはしたけど、干すのが面倒ね……。
依神 紫苑:
霊夢さーん。食べ物を、食べ物を恵んでよー。
とってもひもじくて、私のたれ死んじゃう……。
博麗 霊夢:
あんた、ちょうどいいとこに来たわね。
洗濯を手伝ってくれない?
依神 紫苑:
え~、洗濯~? お腹が空いて、
それどころじゃないんだけど……。
博麗 霊夢:
そんなこと言わずにさあ。
ほら、終わったらおやつも出すわよ。
依神 紫苑:
お、おやつ!?
喜んで手伝わせていただきます!
博麗 霊夢:
(あっ、けどコイツ、貧乏神だったわね。
洗濯を手伝わせたりしたら……)
依神 紫苑:
おやつ、おやつ♪ どんな味かな~。
甘いあんこに、しっとり求肥♪
博麗 霊夢:
すっかり乗り気になっちゃったわね。
ま、いいわ。とりあえず手伝ってもらいましょ。
博麗 霊夢:
二度手間は面倒だからね。
失敗しないよう、気をつけていくわよ。
博麗 霊夢:
物干し竿は、鉄製の物をしっかり固定して……、
うん、これなら簡単に壊れないでしょ。
依神 紫苑:
貧乏神の私のために、ここまで……!
これは気をつけながら、干さないと!
博麗 霊夢:
ゆっくりでいいからね! 転ばないように!
絡まないように……そうそう、いい感じよ!
依神 紫苑:
で、これが最後……、やったあ! 全部干せたわ!
……わっ!? すごい風!
博麗 霊夢:
あ、あぁーっ! 紫苑、洗濯物が!
依神 紫苑:
えっ……あああっ!?
と、飛ばされて、全部落ちちゃった……。
博麗 霊夢:
ぬかったわ……。そうよね、干したものは、
ちゃんと固定しないと。はぁ、結局洗い直しね……。
依神 紫苑:
洗濯物はダメにしちゃったけど、
おやつを食べてもいいの?
博麗 霊夢:
いいわよ、さっきのは私も悪かったし。
でも、食べたらもう一回、手伝ってね。
依神 紫苑:
やったー! おまんじゅう、なんて甘いの!
もぐもぐもぐ……んぐっ、ぐぐっ!?
博麗 霊夢:
喉に詰まったの!? ほら、お茶飲んで。
まったく、そんな慌てて食べるから……。
依神 紫苑:
あちち! う~、舌を火傷しちゃった。
今日はほんとに散々……って、あれ?
依神 紫苑:
湯呑の中に茶柱が立ってる!
えっ、すご~い、どうして!?
博麗 霊夢:
さぁ……?
洗濯を頑張れよ、ってことじゃないの?
依神 紫苑:
ふふ、そうかも。……よーし!
次こそ、上手に洗濯物を干してみせるわー!