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人間の里
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依神 紫苑:
はぁ、今日もひもじいなぁ。
……ん? あれは。
依神 女苑:
あら、姉さんじゃない。なっさけない顔!
また、お腹すかせてるの?
依神 女苑:
いいわよ。この女苑様が施してあげる。
そこの店で、お昼にしましょ。
依神 紫苑:
えっ、それは嬉しいけど、
こんな高そうなお店……、女苑、お金あるの?
依神 女苑:
今日はたくさん持ってるから、大丈夫よ。
足りなかったら、客から巻き上げるわ!
依神 女苑:
は~、食べた食べた。
やっぱり、財はパーッと使うに限るわ!
依神 紫苑:
ありがとう女苑、とっても美味しかったわぁ~!
こんなにお腹いっぱいなんて、久しぶりかも。
依神 紫苑:
「メニューのここからここまで全部ください!」
って、すごく気持ちいいわね!
依神 女苑:
ふふん、私の偉大さに感謝することね。
……店主、ごちそうさま。お会計!
店主:
はーい。こりゃ、たらふく食べたねぇ。
お会計、全部合わせて……
依神 女苑:
はいはい。どんと来なさい!
なんせ、今日の私は羽振りが……あ、あれ!?
依神 女苑:
財布がない! どっかで落とした!? くっ、
客から巻き上げ……なんで一人もいないのよ!?
依神 紫苑:
え!? も、もしかして、私のせい……!?
店主:
おや、無銭飲食かい?
あんたら……、覚悟はできてるんだろうね?
依神 紫苑:
……はあ。皿洗いだけで
許してくれるなら、よかったのかなぁ。
依神 女苑:
全ッ然よくないわよ!
一週間もタダ働きだなんて、冗談じゃないわ。
依神 女苑:
ふーんだ。全部姉さんのせいよ。昔から
いっつも、尻ぬぐいに私まで付き合わされて。
依神 紫苑:
……でも、結構久しぶりよね、こういうの。
女苑と二人で何かするの、ちょっと懐かしい。
依神 女苑:
そ、そう? まあ、ほーんのたまには、
こうして姉さんに付き合うのも、悪くは……
依神 紫苑:
ああっ! お皿、割っちゃった。
拾っ……、
依神 紫苑:
ひゃっ、バランス崩し……、
きゃあああ!
依神 女苑:
ちょっ、何やってんのよ!
もう、やっぱり姉さんのバカーーー!!