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妖怪の山
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高麗野 あうん:
うーん、ここらへんから神様の気配が……。
庭渡 久侘歌:
わっ! 誰が来たかと思ったら……。
狛犬さんですか。私に何か用でも?
高麗野 あうん:
あ、いたいた。たしか、ニワタリ様ですよね。
高麗野 あうん:
あのー、ちょっと聞きたいことが。
どうして、こんな所に住んでいるんですか?
高麗野 あうん:
もっと相応しい場所に住んで神社を構えれば、
たくさんの信仰を得られると思うんですけど。
庭渡 久侘歌:
信仰、ですか。
うーん、そう言われましても……。
庭渡 久侘歌:
私は、閻魔様に仕える一介の番頭神ですから、
そういうことは、あまり考えていません。
高麗野 あうん:
そう、なんですか……。
高麗野 あうん:
じゃ、じゃあもし、自分の神社を持つとしたら
どうですか? どんな神社になるでしょう?
庭渡 久侘歌:
そうですねぇ……。強いて言うなら、
ニワトリがたくさんいる神社、でしょうか。
高麗野 あうん:
ニ、ニワトリですか……?
庭渡 久侘歌:
そうです。参拝客と、ニワトリを触れ合わせ、
ニワトリの地位向上を図るんです!
庭渡 久侘歌:
その時は、貴方に神社の守護を任せます。
……なーんて、ふふふ。
高麗野 あうん:
ニワトリだらけの神社……。じゃあ私は、
毎日、卵を拾ったり、毛並みを整えたり?
高麗野 あうん:
そ、そんなのやだやだ! 私は、聖なる
神域を守護する、誇り高き狛犬なんだから!
庭渡 久侘歌:
あの……、どうかしました?
高麗野 あうん:
な、なんでもないです! そろそろ帰りますね。
狛犬として、博麗神社を守らなきゃ!
庭渡 久侘歌:
は、はい……。なんだったのかしら?