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魔法の森
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森近 霖之助:
おや? 君はたしか……。
レミリア・スカーレット:
あらあら、骨董屋の店主さんじゃないの。
こんな所で会うなんて、偶然ね。
森近 霖之助:
ちょっと、店の品物を探しにね。
無縁塚に行ってたのさ。
森近 霖之助:
すっかり夜になってしまったけど、
おかげで、いい掘り出し物に出会えたよ。
森近 霖之助:
どうだい。見事なボトルシップだろう?
中の船もほとんど完璧だし、これは珍品だ。
レミリア・スカーレット:
な~んだ。どんなものを拾ったかと思えば、
その舶来品だったら、ウチにもいくつかあるわ。
森近 霖之助:
な、なんだって……。う~む、さすがはお嬢様。
うらやましい限りだな。
レミリア・スカーレット:
そういえば、この舶来品、
どうして船が瓶の中に入ってるのかしら?
森近 霖之助:
……よくそこに気がついたね。
僕が思うに、これは祈りのモニュメントなんだ。
森近 霖之助:
おそらく、瓶の中の船は実在した船なんだろう。
外の世界では、名高い船艇だったはずだ。
森近 霖之助:
だが、その船は、巨大な妖怪の襲撃を受け、
船員もろとも、どこかへ連れ去られてしまった。
森近 霖之助:
未だ船は帰還していない。このボトルシップは、
その悲惨な事件を忘れないように作られたんだ。
レミリア・スカーレット:
へぇ~、そんな理由があったんだ。
こんな大型船を狙うなんて、きっと暇な妖怪ね。
森近 霖之助:
ま、今の話は僕の推測だけどね。
実際のところは、よくわからないままだよ。
レミリア・スカーレット:
でも、なかなか面白い話だったわ。そうだ、
せっかくだし、今度ウチのも見に来なさいよ。
レミリア・スカーレット:
こんな、ボロっちいボトルシップじゃなくて、
もっとちゃんとしたのを見せてあげるわ。
森近 霖之助:
……まさか、吸血鬼に誘われるなんて。
たまに外出すると、珍しいこともあるものだ。
森近 霖之助:
でも、そうか。
このボトルシップは、ボロっちいのか……。