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紅魔館
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吉弔 八千慧:
ここが、強大な吸血鬼が住むという紅魔館。
内実を知るには、中に入りたいところですが……
レミリア・スカーレット:
あら。こんな時間にお客人、いえ侵入者かしら?
残念だけど、今日はお帰りに……
吉弔 八千慧:
これは重畳。館の主人にお会いできるなんて。
……中に、入れていただけますね?
レミリア・スカーレット:
ええ、通りなさい。
好きに見ていいわよ。
レミリア・スカーレット:
(……あれ? なんで私、許可しているのかしら)
吉弔 八千慧:
よく見せていただいて、助かりました。
また来ますね。
レミリア・スカーレット:
なっ……何よこれ、なんなの!
なんで私、あいつに素直に従って……!?
レミリア・スカーレット:
ゆ、許せない……! 吸血鬼のプライドにかけて、
絶対に、やり返してやるんだから!
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数日後
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吉弔 八千慧:
こんばんは。また……
レミリア・スカーレット:
待ってたわよ、あなたが来るのを!
……咲夜!!
吉弔 八千慧:
(しまった、逆らう気力を失わせる前に!?
……っ、まだ何か来る!)
吉弔 八千慧:
くっ、先日来たときにはなかった
侵入者撃退トラップ……、この短期間で準備を?
レミリア・スカーレット:
ふふん。私を見くびると、どうなるかわかった?
吸血鬼は、誇り高き種族。誰にも従わないわよ!
吉弔 八千慧:
ええ、よくわかりました。
今日のところは退散するとしましょう。
レミリア・スカーレット:
やったわね、咲夜。完璧な作戦だったわ!
仕掛けた甲斐があったというものね。
十六夜 咲夜:
はあ、それはよかったです。このトラップ、
みんなで寝る間を惜しんで作りましたからね……。
レミリア・スカーレット:
ま、別に館の中なんて見られてもいいんだけど、
私、誰かに従うのは絶対にイヤだもの!
吉弔 八千慧:
できる使用人に、短期間での館の改造。
情報収集は、大いに果たせましたが……
吉弔 八千慧:
己のメンツのためだけに、あそこまでするなんて。
とことんプライドが高くて、厄介な吸血鬼。
吉弔 八千慧:
今日の一番の収穫は、
それを知れたことかもしれませんね。