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妖怪の山
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吉弔 八千慧:
鬼傑組の衆よ。今晩、貴方たちを
地上に呼び出したのは、他でもない……。
吉弔 八千慧:
そう、宴会のためだ! すべて私の奢りだから、
遠慮せずに好きなだけ呑むといい。
八千慧の部下A:
き、吉弔様!? 急に何を。
なんだか、いつもと様子が違うような。
八千慧の部下B:
こんな大量の酒や肴、妙に気前がよすぎないか?
ぎゃ、逆に怖い……。
依神 女苑:
いやいや、あんたらのリーダーはいつも通りよ。
さ、お言葉に甘えて、パーっと楽しみましょ!
吉弔 八千慧:
こちらの方の言う通りだ。
さあ、皆の者。この素晴らしい一夜に乾杯!
八千慧の部下B:
お、おお? まあ、奢りっていうなら楽しむか。
組長の気前のよさに、カンパ~イ!
吉弔 八千慧:
さあ、珍しいお客人。貴方もお呑みなさい。
つまみもたくさんありますよ。
依神 女苑:
ふふっ、ありがとう!
さすがは鬼傑組の組長。すごい財力ね。
依神 女苑:
(ふふ、呆気ないほど、うまくいったわね!
私の能力、こいつにしっかり効いてるみたい)
依神 女苑:
(切れ者って聞いてたけど、女苑様にかかれば
ちょろいもんよ。ああ、タダ酒サイコー!)
吉弔 八千慧:
ええ。たまには奮発して、気前のいいところを
見せるのも、部下の心の掌握には必要ですから。
吉弔 八千慧:
いろいろと、いい機会でしたものね。
こうして、地上の疫病神とお近づきになるにも。
依神 女苑:
え。あんた、今なんて……
吉弔 八千慧:
ふふ、何も言っていませんよ。
……貴方の気にすべきことは、何も。
吉弔 八千慧:
そんなことより、貴方の能力……、
とても興味深い。詳しく教えてくれませんか?
依神 女苑:
(あれ? なんだか、逆らう気力が湧かない。
言わなきゃいけない気になってきたわ)
依神 女苑:
いいわよ。まず、私の能力は他人の散財を促し、
富を巻き上げることで……
吉弔 八千慧:
いろいろ利用できそうで、素敵な能力ですね。
もっともっと……洗いざらい、喋ってください。
依神 女苑:
そうね。あんたには、全部聞かせてあげるわ。
例えば、昔起こした完全憑依異変では……
八千慧の部下A:
なあ、今日の吉弔様って……。
八千慧の部下B:
ああ。びっくりするほど、いつも通りだな。