-------------- 紅魔館 -------------- 杖刀偶 磨弓: あら、何か悩んでいるみたいね……。 どうかしたの? 十六夜 咲夜: 実は、妖精メイドがみんな休んでしまって……。 人手不足で、お屋敷の家事が回らないの。 杖刀偶 磨弓: ふむ……。私も埴輪兵団の長だから、 部下を持つ者の苦労は、身に染みてわかるわ。 杖刀偶 磨弓: そうだ! 今回は特別に、兵団の精鋭たちを 派遣しよう。存分に使ってあげてほしい! 杖刀偶 磨弓: 飲まず食わずで、24時間働ける。 屋敷の家事なんて、楽勝間違いなしだ! 十六夜 咲夜: まあ、本当に? それは、ありがたいわ。 杖刀偶 磨弓: 困った人を助けるのも、兵の義務よ。 それじゃ、今すぐ埴輪たちを連れてこよう! -------------- 数日後 -------------- 杖刀偶 磨弓: さて、部下たちの様子はどうかしら。 おーい! 埴輪たちは、役に立ってる? 十六夜 咲夜: それが、とても言いにくいんだけど。 全然役に立たなかったわ……。 杖刀偶 磨弓: そ、そんなはずはない! 飲まず食わずで 24時間働ける、最高の兵士なのに! 十六夜 咲夜: そこなのよ……。 その埴輪の長所が、いけなかったの。 十六夜 咲夜: 埴輪は、食事の味を知らないでしょ。だから 料理を作る時に、砂糖と塩を平気で間違えるの。 十六夜 咲夜: それに睡眠のことも知らないから、お嬢様が 寝ている横で、普通にドスドス歩くのよ……。 杖刀偶 磨弓: そんな迷惑を、かけていたなんて……。 何か一つでも、よかったことはないの!? 十六夜 咲夜: もちろん、よかったこともあるわ。ええと…… 漬物石の代わりには、とても良かった。 杖刀偶 磨弓: どんな戦いくさよりも、家事は過酷なのね……! 部下たちが不甲斐なくて、申し訳ない! 杖刀偶 磨弓: 兵の不始末は、指揮官の責任。 部下の代わりに、私が家事をするわ! うおー! 十六夜 咲夜: そういえば、あなたも埴輪だったわね。 同じ結果にならないといいけど……。