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白玉楼
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杖刀偶 磨弓:
たのもう。半人半霊の剣士よ、いざ尋常に勝負!
私は武人として、貴方を倒して強くなる!
魂魄 妖夢:
えー、果し合い? 庭仕事が忙しくて、
猫の手も借りたいのに……。困るわねー。
杖刀偶 磨弓:
つべこべ言わずに、刀を抜け!
畜生界で私を下した剣技、再び見せてみろ!
魂魄 妖夢:
そんなに暇なら、手伝ってよー。
……あっ、そうだ! いいこと思いついた!
魂魄 妖夢:
えー、オッホン! ストイックに強さを求める、
あなたの心意気……実に見事だわ!
魂魄 妖夢:
ひとつ、いいことを教えてあげる。
あなた、「白刃一刀流」をご存じ?
杖刀偶 磨弓:
白刃一刀流……? 聞いたことないわね。
それって、すごいの?
魂魄 妖夢:
すごいどころじゃないわ! 白刃一刀流を
マスターした人は、一騎当千の力を持つのよ!
魂魄 妖夢:
実は私、その流派の師範なの!
貴方さえ良ければ、特別に稽古をつけてあげるわ!
杖刀偶 磨弓:
ほ、本当に!? ありがとう!
あれ? でも貴方は、二刀流の使い手では……。
魂魄 妖夢:
あ、ヤバ……。そうそう! 白刃一刀流にはね、
ダブル一刀流という戦い方もあるのよ!
魂魄 妖夢:
さっそく稽古を始めましょ。まずは木の剪定……
じゃなくて、洞察力を鍛える練習よ!
魂魄 妖夢:
こうやって、枯れた枝を見極めて斬ってね!
木の形が美しくなるように、気をつけて!
杖刀偶 磨弓:
よーし。庭の木をぜーんぶ斬って、
白刃一刀流を習得してやるわ! えいやーッ!
杖刀偶 磨弓:
はぁはぁ……。全部、斬り終わったわ!
次の稽古は何かしら?
魂魄 妖夢:
次は柄杓で水をまいて、空中で斬る稽古よ!
一挙手一投足を意識して、花は踏まないように!
杖刀偶 磨弓:
わかったわ! えいっえいっえいっ!
魂魄 妖夢:
(文句一つ言わずに、庭木の剪定と水やりを
やってくれるなんて! 埴輪って、便利ね!)
杖刀偶 磨弓:
いっぱい水を斬ってきたわ!
なんだか私、強くなった気がする!
魂魄 妖夢:
ご苦労様。これで、白刃一刀流は習得できたわ!
稽古はおしまいだから、帰っていいわよ。
杖刀偶 磨弓:
あの……最後にお手合わせを願えない?
強くなった自分の力を、試してみたいの。
魂魄 妖夢:
それはダメよ。本当に強い人っていうのは、
自分の力をひけらかさないものでしょ?
杖刀偶 磨弓:
なるほど。確かに、その通り。貴方には、
武人の心構えまで、教えてもらっちゃったわね!
杖刀偶 磨弓:
今日は本当にありがとう。それでは!
魂魄 妖夢:
また稽古に来てねー!
今度は、赤刃一刀流と青刃一刀流を教えるわー!