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守矢神社
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埴安神 袿姫:
……あら。なにか、お悩み?
八坂 神奈子:
ちょうどいいところに! 頼みがあるの。
実は……革新的な厠づくりに悩んでいてね。
埴安神 袿姫:
厠? なんでまた、そんなこと……。
八坂 神奈子:
外の世界では、民衆の支持を得るため、
厠の整備に力が入れられているのよ。
八坂 神奈子:
幻想郷でも、厠に革命を起こせば
信仰のカギになるかと思って……。
埴安神 袿姫:
へぇ~。外の世界は変わってるわね。
……で、私に頼みって?
八坂 神奈子:
貴方、造形のプロだし
一緒に厠づくりを手伝ってくれない?
埴安神 袿姫:
ふーん、面白そうじゃない。
やらせてもらうわ!
埴安神 袿姫:
そうね……まず、審美性は欠かせないわね。
滑らかなフォルムは、座り心地にも影響が……。
埴安神 袿姫:
あら、もう夜? だいぶ盛り上がっちゃった。
そういえば……外の世界の厠って、どんな感じ?
八坂 神奈子:
ウォシュレットっていう、
水が出たり引っ込んだりする棒が付いてるわね。
八坂 神奈子:
さらに、ムーブ機能を使うと
前後に動くみたいで……。
埴安神 袿姫:
動いたら困るでしょうに。意味不明ねぇ。
八坂 神奈子:
そうだ! せっかくだし、河童も呼んで
ムーブ機能を付けてもらいましょう!
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人間の里
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八坂 神奈子:
まもなく日が昇る。厠革命の夜明けね。
守矢神社の命運、託したわよ……革新型厠1号!
河城 にとり:
いい、いい! 最高の出来だよ~!
やっぱ、光る馬型埴輪の型にして正解だったね!
八坂 神奈子:
あれ……改めて見ると、
なんかちょっと……。
埴安神 袿姫:
な、なんというか、これ……。
二人:
(これ……完全に、
深夜の変なノリで造ったヤツ!)
河城 にとり:
えーっと……。ここを押すと、消音機能で
御神楽が流れるんだよね! ポチッとな。
消音音声:
さあ、聞きなさい!
轟音滅せし、消音御神楽を!
里の女の子:
これ、なあにー?
河城 にとり:
これはねえ、みんなが使う新しい厠だよー。
ほら、ここ押してごらん。お水が出るから……。
里の老婆:
き、奇跡じゃあ!
こりゃあ、厠の神様じゃわい!
里のおじさん:
おーい! みんな呼んで来い!
厠の神様だってよー!
八坂 神奈子:
意外と……流行っちゃったわね……。
あのバケモンみたいな厠。
埴安神 袿姫:
そうね。でも、この三人で何かを造るのは、
もうやめましょう……。