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博麗神社
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埴安神 袿姫:
ね、ちょっと遊ばない?
人里で、磨弓が面白い物を見つけてきたの。
埴安神 袿姫:
チェスっていう、盤上で戦争をする遊びよ。
吉弔 八千慧:
また急ですね……。
埴安神 袿姫:
私が勝ったら……和平を結んでもらいたいの。
吉弔 八千慧:
いいでしょう、相手になってあげます。
吉弔 八千慧:
……こちらが勝った場合、
常に人間霊を一定数供給してくれると約束するならね。
埴安神 袿姫:
いいわ……、秩序のためには、犠牲も必要。
数が増え過ぎても、秩序は崩壊してしまうもの。
吉弔 八千慧:
……で。なぜ和平などという、つまらぬ提案を?
埴安神 袿姫:
人間霊と動物霊。終わらない争いに
意義を感じなくなった……それだけよ。
吉弔 八千慧:
ずいぶんと
高尚なお悩みですね。
埴安神 袿姫:
……最近の幻想郷、
どこかおかしいと思わない?
埴安神 袿姫:
見えない誰かの意思に操られ、
役割を演じている……。そんな気分になるの。
埴安神 袿姫:
この、チェスの駒のように……。
吉弔 八千慧:
ハッ。認知できない存在からの支配など、
私の知ったことじゃありません。
吉弔 八千慧:
少なくとも、畜生界を支配すれば
私の目の届く範囲は思い通りにできる。
埴安神 袿姫:
畜生らしい、身勝手な考えね。
吉弔 八千慧:
仮に、この世界が
何者かの意思に支配されていようが……。
吉弔 八千慧:
私がそれを打ち破り、
すべてを支配してやりましょう。
吉弔 八千慧:
この勝負と同じく、ね。
……チェックメイト。
埴安神 袿姫:
飼い慣らされるつもりはないってわけね。
吉弔 八千慧:
ふふ。自らが造った被造物に噛みつかれる様は
見物だと思いません?
埴安神 袿姫:
そうね。支配されたまま……
負けたままでいるなんて、たまらないもの。
埴安神 袿姫:
……というわけで、
もう一戦やりましょうか。
吉弔 八千慧:
懲りない方ですね……。
何度やろうが、必ず私が勝ってみせますよ。