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霧雨魔法店
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飯綱丸 龍:
どうも、お邪魔するよ。
霧雨 魔理沙:
なんだ客か、珍しい……。
って、お前は大天狗じゃないか!
霧雨 魔理沙:
いったい何しに来たんだ?
面倒ごとなら勘弁だぜ。
飯綱丸 龍:
今日は商談で来ましてね。
霧雨魔法店と天狗の山でアライアンスを結びたい。
霧雨 魔理沙:
アライ……なんだって?
飯綱丸 龍:
実はね、天狗秘蔵のマジックアイテムを、
人間たちにも売りたいのです。ここに置かせてくれません?
霧雨 魔理沙:
まさか、アビリティカードじゃないだろうな?
それなら、お断りだぜ。
飯綱丸 龍:
あっはっは、違う違う。今回持ってきたのはコレです。
世にも珍しい、煌く羽根団扇ですよ。
霧雨 魔理沙:
おおー! なんだこれ!
羽根が宝石みたいに光ってる!
霧雨 魔理沙:
うーん、これはいい客寄せになるなぁ。
……いいぜ。うちで取り扱っても。
飯綱丸 龍:
商才のある方で助かった。
このアイテムは霧雨魔法店専売としましょう。
飯綱丸 龍:
専売ですから、売り上げ分配は
うちが四割、あなたが六割で。いかがでしょう?
霧雨 魔理沙:
あぁ、大丈夫……って、四割!?
おいおい。ちょっと、がめつすぎないか?
飯綱丸 龍:
ふむ……。
では、こういうのはどうですか?
飯綱丸 龍:
こちらは売上の二割に相当する、
他のマジックアイテムを渡す、というのは?
飯綱丸 龍:
あなたにとって悪い話ではないはず。
天狗の作る道具に、ご興味があるのでは?
霧雨 魔理沙:
そうきたか。うーん、
天狗のアイテムは珍しいし……まあ、いいか。
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数日後
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霧雨 魔理沙:
いや~聞いてくれよ!
あの羽団扇、飛ぶように売れてるぜ!
霧雨 魔理沙:
店まで来るやつは居ないが、私が里に持っていくと
大層評判が良くてな! さまさまだぜ!
飯綱丸 龍:
それはよかった。じゃあ、他にも並べましょう。
……これはあっち、これはそっちに置いてっと。
霧雨 魔理沙:
おいおい。そんなに商品を置いて、
うちの店を乗っ取るつもりか~?
霧雨 魔理沙:
……待て。
もしかして本当にそうするつもりじゃ……。
飯綱丸 龍:
ええ。
霧雨 魔理沙:
……へ?
飯綱丸 龍:
天狗社会の成長のために、
ここを経済拠点のひとつにしようと思ってね。
飯綱丸 龍:
この店、開店休業中なんでしょう?
それなら、ウチが“居抜き”しようと思ってね。
霧雨 魔理沙:
なっ……なっ……。
霧雨 魔理沙:
そ、そんなこと、させてたまるか!
売り上げを持って、さっさと出てってくれ!
飯綱丸 龍:
流石に居抜きは出来なかったか。
まあ、本来欲しかった業績指標は得られたし、頃合いか。
飯綱丸 龍:
人間が何を求め、何に価値を感じるのか……。
いい実地データ収集になった。
飯綱丸 龍:
うーん、でも……。
飯綱丸 龍:
店やデータより、あの店主が欲しくなってきたなあ、
今度は……。