-------------- 冥界 -------------- 河城 にとり： よーし、だいたいプール部分も完成だな！ どう？　外の世界の物を再現できてる？ 東風谷 早苗： いやいや、それ以上にすごいですよ！ これなら皆さん、きっと楽しんでくれます！ 河城 にとり： よしよし。それじゃ、出店の様子を見てくるか。 おーい、準備は進んでるー？ チルノ： ばっちり準備完了だよ！ あたいのかき氷なら、行列間違いなしさ！ 河城 にとり： どんな味を用意したんだ？　えーっと…… み、水味？　ホントに大丈夫か、これ。 河城 にとり： まあ、いいか……。さてさて。あとは、 貸し出し用のボートも確認してこないとね。 古明地 こいし： うわあ、ひろーい！　なんかいっぱいあるよー！ ここから見えるの、もしかして全部プールなの！？ 村紗 水蜜： これはすごいですね……。渓流のような滑り台に、 海のように波打つプール……。 古明地 こいし： あっちには、なんかぐるぐるした滑り台もある！ すごーい！　ぜーんぶ楽しそーう！ 河城 にとり： おお？　誰が来たのかと思えば、 この前の監視員候補じゃないか！ 西行寺 幽々子： あら！　もしかして、 監視員をやってくれる気になったの？ 村紗 水蜜： え、ええ。危険かもしれないとわかっていて 見過ごしたら、後悔すると思ったので……。 西行寺 幽々子： さすが、そういう性格も監視員にぴったりだわ。 うんうん。私たちの見る目に間違いはなかった。 河城 にとり： そっちのサトリも、一緒に監視員でいいのか？ いやー、助かる！　これで人手不足も解消だ！ 西行寺 幽々子： それじゃあ、さっそくプール開きをしましょうか！ プールに水を入れてちょうだい！ 古明地 こいし： おおー！　水がたまってきたよ！ でも……、なんか黒くない？ 河城 にとり： どういうことだ？　玄武の沢から、 キレイな水を用意してきたはずなんだけど……。 西行寺 幽々子： あら、あらあら。ちょーっとよくないわねぇ。 みんな、いったんプールから離れましょ。 チルノ： なんだなんだ？　みんな水から離れちゃって。 もしかして、落ちるのが怖いのか？ チルノ： それなら落ちないように、 最強のあたいが、水を凍らせてあげるよ！ 村紗 水蜜： あっ……。待って！ そんなに近づいたら危険です！ チルノ： へーき、へーき！ ……おわっ！？ 河城 にとり： ちょっ、いきなり落ちるやつがいるか！？ 村紗 水蜜： いや。今のは、何者かに 引きずり込まれていました。早く助けなければ！ チルノ： んー！　むぐー！ 村紗 水蜜： （水の中に、こんなに幽霊が……！ 　生者を引きずり込もうと手招きしているわね） 村紗 水蜜： （……そうはさせない。 　その妖精は、返してもらうわよ！） チルノ： ゲホッ、ゲホッ……！　ひどい目にあった……。 いくらあたいが最強でも、不意打ちは卑怯だぞ！ 村紗 水蜜： ……妖精を水に引きずり込んだのは、 水に憑りついた幽霊たちでした。 村紗 水蜜： だから言ったじゃないですか。 冥界に水辺を作るのは、危険だと。 西行寺 幽々子： うーん。一応、幽霊たちには 言い聞かせておいたんだけどねぇ……。 西行寺 幽々子： とにかく、水から追い出しましょう。 じゃないと、プールに入れないものね。 東風谷 早苗： お祓いをするんですね？　私も手伝います！ 村紗 水蜜： ……こうして実害が出ているというのに、 プールをあきらめるという選択肢はないんですね。 西行寺 幽々子： 当たり前じゃない。この夏の一大イベントとして 楽しみにしてる人も多いのよ？ 村紗 水蜜： はぁ……。わかりました、私も手伝います。 潜って、直接幽霊たちを追い払ってきますよ。 西行寺 幽々子： ありがとう、監視員さん。さあ、 みんなで力を合わせて、今度こそプール開きよ！ 東風谷 早苗： やっと終わりましたね……。 思ったより幽霊が多くて、大変でした。 西行寺 幽々子： お疲れ様。でも、みんな出ていったから プールの水がキレイになったわね！ 村紗 水蜜： ……はぁ。あの幽霊たちを見てたら、 ちょっと、昔の自分を思い出しちゃった。 村紗 水蜜： なんでもかんでも沈めていた、あの頃……。 やっぱり冥界の水辺は、危険すぎるのよ。