-------------- 冥界プール -------------- 村紗 水蜜： これで邪魔者は、すべて沈んだかしら。 さあ今度こそ、お屋敷を沈めましょう！ 聖 白蓮： いいえ、そこまでです。 村紗 水蜜： な、なんだ！？　眩しい……！ あれは……、黄金の、船！？ 聖 白蓮： 村紗……。目を覚ましなさい。 もう、沈めるものはないはずです。 村紗 水蜜： はあ？　その、黄金の船があるじゃない！ 神々しくて立派で、沈めがいのある船がね！ 村紗 水蜜： さあ、水を注がれて沈め！　……あれ、沈まない？ そ、それなら、船に穴を開ければ！ 村紗 水蜜： そんな！？　穴すら開けられないなんて！ なんで……、どうして！？ 聖 白蓮： この船は、今のあなたが大切にしているもの。 あなたが自分を見失わない限り、沈みません。 聖 白蓮： 思い出しなさい。この船はなんですか？ あなたは何者ですか？ 村紗 水蜜： は？　その船？　その船、は……。 村紗 水蜜： 聖輦船……！　私が、ずっと守ってきた船だ。 そうだ、私は……、私がここにいるのは……！ 聖 白蓮： 思い出したようですね。 自分が、なんのために、ここに来たのか。 村紗 水蜜： ああ……、私はなんてことを。監視員として みんなを守りたかったはずなのに。なのに……。 西行寺 幽々子： 大丈夫よ。お客さんも従業員も、みんな無事。 白蓮さんが、みんな拾ってくれたわ。 村紗 水蜜： ほ、本当ですか！？ 古明地 こいし： おーい！　ここだよー！ みんな元気だよー！ 村紗 水蜜： ああ、よかった！　本当によかった……！ 聖 白蓮： さあ戻ってきなさい、村紗。 まだやることが残っているでしょう？ 村紗 水蜜： はい、ただいま戻ります！　……うっ！？ 幽霊： シズメヨウ……！　コッチニオイデ……！ 村紗 水蜜： 幽霊たち！？　待って、私はもう、 本能のままに暴れる舟幽霊には……！　ああっ！？ 古明地 こいし： あ！　舟幽霊さんが、 水の中に引きずり込まれちゃったよ！？ 聖 白蓮： 大丈夫ですよ。船のイカリを下ろしましょう。 今のあの子なら、すぐに戻ってくるでしょうから。 村紗 水蜜： （幽霊が多すぎて、振り払い切れない！ 　早く戻らなきゃいけないのに……！） 村紗 水蜜： （これは……、聖輦船のイカリ！　そうか、 　法力でできたイカリなら、幽霊を振り払える！） 村紗 水蜜： （私は、もう忘れない。私はもう、水底で見境なく 　船を狙う舟幽霊じゃないのよ！　くらえ！） 幽霊： オオオ……、マブシイ……！ 聖 白蓮： おかえりなさい、村紗。 あなたなら大丈夫だと、信じていたわ。 村紗 水蜜： 聖……。ただいま戻りました。 そしてみなさん、ご迷惑をおかけしました！ 河城 にとり： ちょっと、なに終わったみたいになってんの。 まだまだ、やること山積みだよ？ 西行寺 幽々子： その通り。と～っても重大な問題が残っているわ。 村紗 水蜜： 重大な問題！？　いったい、なにが……！ 河城 にとり： プールの修復だよ！　せっかく作ったのに、 全部めちゃくちゃにしてくれちゃってさ！ 河城 にとり： 修理費含めて、きっちり稼ぎ直すんだ！ 責任取って、きりきり働いてもらうからね！ 村紗 水蜜： は、はい、すみません！　全力で手伝います！ 聖 白蓮： では、私も手伝いましょう。 私にも、責任の一端はありますから。 西行寺 幽々子： それじゃ、私も幽霊たちの後始末をしなくちゃ。 ふふ。やっと、いいプールになりそうね。