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魔法の森・アリスの家
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魂魄 妖夢:
私のニセモノを追って、ここまで来たけど……。
あいつ、人形師さんの家に入っていったわ。
魂魄 妖夢:
……まさか、人形を壊すつもりかしら。
ひとまず、中の様子を……、どれどれ。
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アリスの家・室内
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アリス・マーガトロイド:
おかえりなさい。ああ、今日も結構
無茶してきたのね。身体の調子はどう?
謎の少女:
問題ありません。順調ですよ。
また少し、身体に馴染んできた感じはします。
アリス・マーガトロイド:
そう……。違和感があったら、すぐに教えてね。
さ、お茶を入れるわ。少し休みなさい。
謎の少女:
はい。お気づかい、感謝します。
魂魄 妖夢:
ちょ……、ちょっと待ったぁーっ!
こ、これは、どういうことですか!?
アリス・マーガトロイド:
あら、もう来たの。
案外早くバレちゃったわね。
魂魄 妖夢:
バレちゃった……? ひょっとして人形師さん、
このニセモノと、グルなんですか!?
謎の少女:
ニセモノとは、心外です。
もう一人の私。
魂魄 妖夢:
また、もう一人の私って……。
魂魄妖夢は私よ!
アリス・マーガトロイド:
まぁまぁ、二人とも落ち着いて。
私から事情を話すわね。
アリス・マーガトロイド:
実は、この魂魄妖夢は、あなたの半霊が
憑りついた自律人形なの。
アリス・マーガトロイド:
作りかけの子だったんだけど、半霊の影響なのか、
あなたの姿になったのよ。言わば、妖夢ドールね。
魂魄 妖夢:
ええ……、そんなことが……。
というか、半霊!?
魂魄 妖夢:
こんな所にいたなんて……。
今まで何してたのよ。探してたんだから!
妖夢ドール:
……ふんっ。
あなたには関係ありません。
魂魄 妖夢:
な、なんですって?
アリス・マーガトロイド:
少し前に、森で迷ってるのを見つけてね。
うちで保護したの。
アリス・マーガトロイド:
そしたら、人形に興味を持ったみたいで、
憑りついて動くようになっちゃったのよ。
魂魄 妖夢:
そうだったんですか……。
すみません、ご迷惑をおかけしました。
アリス・マーガトロイド:
いえいえ。こちらも助かってるから。
アリス・マーガトロイド:
おかげで、人形に霊魂を憑りつかせて動かす、
新しい自律人形の理論が確立できるかもしれないの。
アリス・マーガトロイド:
そんなわけで、人形を貸す代わりに、
この子には私の実験に協力してもらっているのよ。
魂魄 妖夢:
じゃあ、里で物を壊させていたのも、実験のため?
そんなことに私の半霊を使わないでくださいよ~!
魂魄 妖夢:
ほら、半霊の私、
いっしょに冥界に帰りましょう。
妖夢ドール:
嫌です。
魂魄 妖夢:
……え? ええええ!?
ど、どうして……?
妖夢ドール:
せっかく家出したのに、
すぐに帰っては、意味がないじゃないですか。
妖夢ドール:
それに、プールで遊び惚けて、私のことを
忘れていた人のことなんか知りません。
魂魄 妖夢:
そんなぁ……、どうしよう……。
アリス・マーガトロイド:
ねぇ。ひとまず、もう少しだけ、
妖夢ドールをウチで預からせてくれないかしら?
アリス・マーガトロイド:
今日は動き過ぎたみたいだから、
メンテナンスして休ませてあげたいの。
魂魄 妖夢:
でも……。
アリス・マーガトロイド:
安心して。あの子が満足したら、
自分の家に帰るよう、ちゃんと説得するから。
魂魄 妖夢:
……わかりました。お願いします。
魂魄 妖夢:
あ~あ。
幽々子様になんて言おうかな……。