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魔法の森
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河城 にとり:
らっしゃいらっしゃい! 観戦のおともに、
イカ焼き、焼きそば、お酒はいかがー!
村紗 水蜜:
あ、すみませーん。焼きそばとお酒を二つ。
……妖夢さん。半霊が見つかったんですね。
河城 にとり:
私たちのとこにまで聞きに来てたもんねー。
見つかってよかったよ。はい、お待ち。
霧雨 魔理沙:
それにしても、冥界から脱走した幽霊どもが
物に憑りついて暴れていたなんてな。
霧雨 魔理沙:
あんまり大きな騒ぎにならなくてよかったけど、
まったく、あの亡霊姫は何してたんだか。
村紗 水蜜:
まあまあ。今日は、そんなこと忘れて
楽しみましょう。ほら、そろそろ始まりますよ!
霧雨 魔理沙:
おっ、来たか。
妖夢ー! 頑張れよー!
西行寺 幽々子:
露店の集客もあって、大盛り上がりね。
さーて、私も食べ物を調達しなくっちゃ。
アリス・マーガトロイド:
呑気なものねぇ……。
これで成功しなかったら、どうする気?
西行寺 幽々子:
心配してくれてありがとう。でも、大丈夫。
あの二人なら、きっと上手くいくわ。
魂魄 妖夢:
どうしよう……、こんなにたくさん、
緊張してきちゃった。
妖夢ドール:
集中してください。
そんなことじゃ、私に勝つなんてできませんよ。
魂魄 妖夢:
わかってるって。
それじゃ、始めましょうか。
妖夢たち:
いざ!
霧雨 魔理沙:
おお! いきなり同時に大技か。
こいつは楽しめそうだぜ!
魂魄 妖夢:
ぐ、くぅ……っ。きゃあああああっ!
妖夢ドール:
あら、吹っ飛ばしすぎちゃいました。
……でも、まだ終わりなわけないですよね?
魂魄 妖夢:
はぁ、はぁっ……。ふふっ、やっぱり強い。
人形の身体だと、疲れないからかしら。
妖夢ドール:
……なにを笑っているんです?
さあ、さっさと剣を構えてください。
魂魄 妖夢:
ええ……でも、あなたといるのが、
なんだか頼もしくて、安心しちゃってね。
妖夢ドール:
あ、安心……?
魂魄 妖夢:
うん。幽霊人形と戦ってる時、やっぱり私、
半霊といっしょじゃなきゃダメだって思ったの。
魂魄 妖夢:
だから……ごめんね。
あなたを置いて、一人でプールを楽しんで。
魂魄 妖夢:
これからは、あなたのこと、もっと大切にするから。
お願い、戻ってきてほしいの。
妖夢ドール:
……私も、あの時、いつも以上の
力を出せたと感じていました。
妖夢ドール:
やっぱり私たち半人半霊は、二人で一つ。
だから……私も、同じ気持ちです。
妖夢ドール:
でも、それはそれ、これはこれ。
この試合、勝つのは私ですから。
魂魄 妖夢:
あー! 言ったわね。
残念だけど、勝つのは私よ!
魂魄 妖夢:
とりゃあーーーっ!
霧雨 魔理沙:
おお、ものすごい斬り合いだ。
どっちも一歩も退いていないな!
アリス・マーガトロイド:
でも、あんなに激しい応酬を続けたら、
人形が壊れてしまうんじゃ……。
妖夢ドール:
はっ、はぁっ……。
くそ……。手足がうまく、動かない……。
魂魄 妖夢:
まだまだ、行くわよ!
はああっ!
妖夢ドール:
くっ、これは……! 押し切られる!
うわあああっ!
魂魄 妖夢:
えっ!? あああっ!
魂魄 妖夢:
う、うそでしょ……!?
私の剣が、人形の身体に刺さって……!
妖夢ドール:
……私の、負け、ね。
さすがだわ、私……。
魂魄 妖夢:
半霊、待って!
ダメぇぇええーっ!!
魂魄 妖夢:
そんな……、失敗しちゃった。
私の、半霊……。
アリス・マーガトロイド:
妖夢……。
魂魄 妖夢:
これからは、ずっといっしょって決めたのに……。
魂魄 妖夢:
ごめんね……。私が、半人前なせいで、
あなたを元に戻してあげられなかった……。
魂魄 妖夢:
……あれ? なんだか、背中が温かい。
懐かしくて安心する。これは……。
魂魄 妖夢:
は、半霊!! 元に戻れたのね!
よかったぁーーっ!
西行寺 幽々子:
やったわね、妖夢。半霊も取り戻して、
自分自身にも打ち勝って。ぜーんぶ大成功だわ。
アリス・マーガトロイド:
半霊が入っていた人形は、壊れちゃったわね。
ふふ、あなたも、お疲れ様。
魂魄 妖夢:
あの……、人形師さん。
ありがとうございました。その……、色々と。
アリス・マーガトロイド:
気にしないで。
私だって、自分のためにやってたから。
アリス・マーガトロイド:
そうだ。これから、壊れた人形たちの
供養に行くんだけど、あなたもいっしょに来る?
魂魄 妖夢:
はい! お供させていただきます。