--------------
白玉楼・数日後
--------------
西行寺 幽々子:
いらっしゃい、七色の人形遣いさん。
今日は、どんなご用かしら?
アリス・マーガトロイド:
お邪魔するわ。
ちょっと、あなたに聞きたいことがあってね。
アリス・マーガトロイド:
貴方……。亡霊の脱走を
見て見ぬふりしたのは、なぜ?
西行寺 幽々子:
ああ、そのことね。
ふふっ、それはね……、妖夢のためよ。
西行寺 幽々子:
すべては、半身を蔑ろにしたことを反省させて、
あの子を一人前に成長させるため。
西行寺 幽々子:
そのために、脱走した幽霊も、
家出した半霊のことも、利用したのよ。
アリス・マーガトロイド:
本当に、それだけ?
西行寺 幽々子:
もちろんよ。あ、そうそう。ちなみにね、
半霊と人形の同化についてなんだけど……。
西行寺 幽々子:
あの話、ぜーんぶウソ。
アリス・マーガトロイド:
え!? ちょっとそれ、どういうこと?
あんなに手の込んだことまでしたのに?
西行寺 幽々子:
実際は、同化なんて起きないの。ただ、
半霊が嘘を信じて、思い込んじゃっただけでね。
アリス・マーガトロイド:
あなたねぇ……。
西行寺 幽々子:
でも、あれで正解だったのよ。
西行寺 幽々子:
半霊が、ちゃんと妖夢の言葉に動かされて、
戻りたいって思わなきゃ意味がなかったから。
西行寺 幽々子:
試合に観客を入れたのも、そのためよ。
ほら、お祭りの場って、気分が高揚するじゃない?
アリス・マーガトロイド:
はぁ……、なるほど。
全部、貴方の思惑通りだったってわけね。
アリス・マーガトロイド:
まあ私も、自律人形の新しい知識を
たくさん得られたから、そこだけは感謝するわ。
アリス・マーガトロイド:
じゃあ、失礼するわね。
さよなら。
魂魄 妖夢:
おっとっと……。これを運ぶのは、
ちょっと大変ね。気をつけないと……。
西行寺 幽々子:
あらあら、妖夢。そんな大荷物で大丈夫?
また、つまづいたりしないかしら。
魂魄 妖夢:
大丈夫ですよ、幽々子様! ほら!
こうやって手伝ってもらっていますから。
西行寺 幽々子:
ああ。半霊と分け合って持っているのね。
いいじゃない。
魂魄 妖夢:
ほかにも、失敗しないように、相談したり
分担したりして、作業しているんですよ。
魂魄 妖夢:
おかげで仕事が捗って、
早く終わりそうなんです!
西行寺 幽々子:
まあ、すごいじゃない。
ちょっぴり一人前に近付いたんじゃない?
魂魄 妖夢:
えへへ……。ありがとうございます!
早く一人前になれるように、頑張ります!
西行寺 幽々子:
ふふふっ、期待しているわ。
魂魄 妖夢:
はい! では、仕事に戻りますね。
魂魄 妖夢:
よし、じゃあ行くよ。
せーのっ!