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守矢神社
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蓬莱山 輝夜:
さあ、守矢神社に着いたわね。
社務所に誰かいるかしら? ごめんくださーい!
東風谷 早苗:
はいはーい。って、貴方たちは……。
今日は、お祭りのはずじゃ?
蓬莱山 輝夜:
いろいろあってね、協力してほしいの。
鈴仙、手紙を。
鈴仙・優曇華院・イナバ:
はい、こちらに!
どうぞ、お読みください!
東風谷 早苗:
突然ですねえ。えーと、ふむふむ、ほうほう。
……なるほど、そういうことですか。
東風谷 早苗:
事情は、すべて承知しました。
それでは、早速始めましょう。
東風谷 早苗:
モグラ叩き対決を!
蓬莱山 輝夜:
……は?
東風谷 早苗:
あれ、知りませんか? モグラ叩き。
出てきたモグラを叩いて、得点を競うやつ。
蓬莱山 輝夜:
……えーっと、ちょっと待って。
展開が急過ぎて、頭がついていかないわ。
東風谷 早苗:
幻想郷には、アレないんですかね? 手紙によると
今回のは、アレとはまた違うようですけど。
東風谷 早苗:
稲で地面を叩いて、モグラを追い出すんだとか。
担当範囲を先に叩き終えたら勝ちみたいですね。
蓬莱山 輝夜:
なにそれ。え? 月見試合って、そういうの?
弾幕勝負とかじゃないの!?
東風谷 早苗:
じゃ、境内を半分に分けて、右が私の担当範囲。
左が貴方たちの範囲ということにしましょうか。
東風谷 早苗:
ちょうど最近、モグラが多くて困ってたんです!
勝負は一対一みたいですが、どちらがやります?
蓬莱山 輝夜:
……いいわ。ここは私がやる。
もとはと言えば、私の責任だしね。
東風谷 早苗:
儀式だから、勝敗は特に関係ないそうです。
とはいえ、そう簡単には負けませんよ~!
蓬莱山 輝夜:
な、なんで貴方は、そんなにノリノリなのよ……。
鈴仙・優曇華院・イナバ:
では、月見団子をお供えしますね。
お二人とも、準備はよろしいでしょうか?
鈴仙・優曇華院・イナバ:
空におわす頂点のお団子さまへ……。
これより月見試合を奉じます。いざ、はじめ!
東風谷 早苗:
えい! それ!
蓬莱山 輝夜:
たあっ! やあっ!
うう、久しぶりの運動は、つらい……。
蓬莱山 輝夜:
はあはあ……これで終わりよ! えい!
東風谷 早苗:
お、お見事です! 参りました……!
鈴仙・優曇華院・イナバ:
お疲れさまです、姫様!
これで、最初の儀式は完了ですね!
蓬莱山 輝夜:
ああ、疲れた……。
でも、休んではいられないわね。次に行くわよ!
蓬莱山 輝夜:
ね、ねえ、鈴仙……。
永琳の書いた手紙、ちょっと見せてくれる……?
鈴仙・優曇華院・イナバ:
え? はい、どうぞ。これですけど……。
蓬莱山 輝夜:
どれどれ……、ええー? 本当に、
あんな変なことをやれって書いてあったのね。
蓬莱山 輝夜:
てっきり、あの巫女にからかわれたのかと……。
次の儀式は、もう少しまともだといいわねぇ。
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博麗神社
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蓬莱山 輝夜:
さて、ここには誰がいるのかしら?
霊夢と狛犬は、お祭りに来ていたけど……。
豊聡耳 神子:
何か御用でしょうか?
蓬莱山 輝夜:
わっ! び、びっくりした。
どうして貴方が、ここにいるのよ?
豊聡耳 神子:
祭りに行くという巫女から、留守を預かってね。
何か用なら、私が代わりに聞きましょう。
鈴仙・優曇華院・イナバ:
では、こちらの手紙を
読んでいただけますか?
豊聡耳 神子:
ふむ? ふむふむ……、そういうことか。
わかりました。では、早速始めましょう。
豊聡耳 神子:
月見試合、第二戦……、俳句対決を!
蓬莱山 輝夜:
こ、今度は俳句!? まあいいわよ。
テキトーに一句読んで、終わらせてやるわ。鈴仙!
鈴仙・優曇華院・イナバ:
はい! 空におわす頂点のお団子さまへ……。
これより月見試合を奉じます。いざ、はじめ!
蓬莱山 輝夜:
『満月や ああ満月や 満月や』
はい、次は貴方の番よ。
豊聡耳 神子:
……ひどいな。あまりにもひどすぎる。
内容はもちろん、勝負に挑む姿勢がなっていない!
豊聡耳 神子:
本気で来なさい、月の姫。そんなことでは、
空のお団子は戻ってきてくれないよ。
蓬莱山 輝夜:
う……。そこまで言うなら、
まずは、あなたが手本を見せなさいよ。
豊聡耳 神子:
いいだろう。……よし、こんなのはどうかな。
『さりとても なお恋しかる 望月よ』
鈴仙・優曇華院・イナバ:
う、うまい! 消えた月の「去り」と掛けつつ
満月を再評価した句ですね……!
蓬莱山 輝夜:
う、うーん、それじゃあ……。
『満月よ 帰ってきなさい さあ早く』
豊聡耳 神子:
……こら。さっきと程度が変わっていないよ。
もっと真剣に挑みなさい!
蓬莱山 輝夜:
うう、どうしてこんなことに……。