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鴉天狗の仕事部屋
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射命丸 文:
はー、疲れた。
資料整理の仕事も楽じゃないわー。
射命丸 文:
さっさと終わらせて、
なんか面白いネタでも探しに行きたいわね。
鴉天狗:
言ってる間に、そこの山が最後よ。
さっさと片付けちゃいましょ。
射命丸 文:
はいはーい。えーと、こっちの記事は三十年前で、
これとそれが十二年前……。
射命丸 文:
それからこっちは……あら。
これ、はたての『花果子念報』じゃない。
射命丸 文:
懐かしい。前に新聞勝負をした時のやつね。
ん? この写真って……。
射命丸 文:
……よし。次のネタは、こいつにしよう。
さっそく取材に行かないとね!
射命丸 文:
ささささ~っと……、はい作業完了!
それじゃ、お先でーす!
鴉天狗:
え、ちょっ!? そんなに早く終わるなら、
最初から、ちゃんとやってよ~!
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人間の里
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古明地 こいし:
ん~。今日も、いいお天気だー!
何して遊ぼうかな……。
射命丸 文:
こんにちは、古明地こいしさん!
清く正しい射命丸です!
古明地 こいし:
わあっ!?
射命丸 文:
いやー、普段は影の薄いあなたですが、
いると思って探せば、案外見つかるものですね。
射命丸 文:
というわけで、取材です。
あなたのスペルカードについて!
古明地 こいし:
え、スペルカード? なんで?
射命丸 文:
資料整理をしていたら、あなたのスペルカードの
「胎児の夢」の写真が載った記事が出てきまして。
射命丸 文:
私も撮らせていただいたことがありますが、
なぜあのような形になるのか不思議で不思議で……
古明地 こいし:
そうなんだ? たしかに昔、天狗さんと
遊んだような覚えはあるような、ないような。
射命丸 文:
おや、覚えてないですか。まあ構いません。
とにかく、目を引く面白い弾幕ですよね、あれ。
射命丸 文:
そういうわけで、あの弾幕はどういうイメージで
作り出されているのか、ぜひ教えてください!
古明地 こいし:
ええ? 急にそんなこと言われても……。
射命丸 文:
人間の胎児が見るという夢は、微生物や魚、
恐竜なんだとか。それを表現したんでしょうか?
射命丸 文:
それとも、サトリ妖怪が胎児の時に見た夢だとか?
サトリ妖怪が胎生だったなんて、大スクープです!
古明地 こいし:
わ、わかんないよー!
そんなの、考えたこともないもん。
射命丸 文:
すみません、先走りました。サトリ妖怪が
胎生という話は、さすがに荒唐無稽すぎましたね。
射命丸 文:
うーん。こいしさんは無意識を操る妖怪ですから
意識して弾幕を形作っているとは考えづらいし……
射命丸 文:
どこかで似たような光景を見て、
あのような弾幕となったのかもしれませんね。
射命丸 文:
……よし、それなら探しに行きましょう!
あなたの弾幕の元になったと思われる光景を!
古明地 こいし:
う、うん? 探しに?
射命丸 文:
そうです。これは、古明地こいしのスペルカードの
ルーツを探る、独占密着取材旅行ですよ!
古明地 こいし:
えーっと……。それってつまり、天狗の記者さんと
一緒に、あっちこっち遊びに行くってこと?
古明地 こいし:
なんだか、ちょっぴり楽しそうかも!
古明地 こいし:
ねえ、さっそく探しに行こうよ!
最初はねえ、えっとー……。
射命丸 文:
ああ、ちょっと待ってください!
まずは取材開始の写真を一枚……。
射命丸 文:
……あら?
射命丸 文:
こいしさんが、いない……。もしかして、
無意識のうちに移動してしまったのかしら。
射命丸 文:
やれやれ。
これは、なかなか大変な取材になりそうね。