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地霊殿
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古明地 さとり:
……どうして、今日もここに来ているのかしら。
まあ、聞かなくてもわかっていますけど。
古明地 さとり:
翌日も会うつもりなら、時間と場所くらい
先に決めておくものでしょうに。
射命丸 文:
い、いやぁ……あはは。
古明地 さとり:
こいしの行方は、私にはわかりませんよ。
それよりも……。
古明地 さとり:
こいしについて、あることないこと
記事にするのは、やめなさい。
射命丸 文:
あら、失礼ですねぇ。まだ書いてもいませんし、
そもそも私は、あることしか記事にしませんよ。
古明地 さとり:
……多少おおげさに言うことはあっても、ね。
心の中でそう思っていることは、お見通しですよ。
古明地 さとり:
あの子のことは、そっとしておいてください。
あの無邪気な笑顔を、貴方は裏切るつもりなの?
射命丸 文:
あやややや……。
こうも小言を重ねられては、たまりませんね。
射命丸 文:
ここらで失礼するといたします。では!
射命丸 文:
さてさて。こいしちゃんは、
いったいどこに……。
東風谷 早苗:
きゃあぁぁ~っ!?
止まって! お願いだから、止まってー!
射命丸 文:
……これはこれは。守矢神社で、
何か面白そうなことが起こっている予感です!
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守矢神社
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射命丸 文:
どうしたことでしょう。境内で、
謎の巨大な機械生物らしきものが暴れています。
射命丸 文:
この形状は、トカゲ……、いやツチノコかしら?
で、その機械生物の上には……。
古明地 こいし:
わーい、すごーい!
ねえねえ、楽しいよ。巫女さんも乗るー?
東風谷 早苗:
降りて! 降りてくださーい! あっ!
また勝手にボタンを押して……! ひえ~っ!
射命丸 文:
楽しそうなこいしちゃんが乗っていて、
守矢の巫女が必死に逃げ回っている……。
射命丸 文:
事情はわからないけど、ネタになりそうね。
とりあえず一枚撮っておこうっと。
東風谷 早苗:
むっ、そのカメラの音は……!
やっぱり文さん! ちょっと手を貸してください!
東風谷 早苗:
あの機械を止めたいんです!
私が足止めするので、あなたは胴体に攻撃を!
射命丸 文:
あら、壊しちゃうんですね。
いいですよ。手伝います。
射命丸 文:
こいしさん、避けてくださいねー!
さん、にー、いち……。はぁっ!
古明地 こいし:
きゃー!? ものすごい風が……!
揺れるーっ! 落ちるぅ~!
射命丸 文:
ほう。あの巨大ツチノコ機械は、貴方が河童に
作らせた、参拝用の新しい乗り物だったんですか。
東風谷 早苗:
ええ、ロープウェイの浮遊感が苦手な方のために
地を這う物を、と。
東風谷 早苗:
さっそく試運転をしようとしたら、いつの間にか
操縦席に、こいしさんが乗っていまして……。
古明地 こいし:
気付いたら目の前にボタンが
たくさんあったから、つい色々押しちゃった。
古明地 こいし:
そしたら、すごい勢いで機械が動き出して……
楽しかったけど、勝手なことしてごめんなさい。
東風谷 早苗:
大丈夫ですよ……。操縦席のロック機能など、
今後改善すべきことも見えたので……。
射命丸 文:
ところで、なんでツチノコの形なんですか?
人を運ぶなら、馬とか牛とかあるでしょう。
東風谷 早苗:
本当は、ヘビやカエルにしたかったんです。
そしたら、一目で守矢神社の物とわかるので。
射命丸 文:
ああ、なるほど。
東風谷 早苗:
でも、乗客数増員のために胴体を広げたり、
安全な移動のために足が必要になったりして……
東風谷 早苗:
そのうちにヘビ型の機械は、ツチノコというか、
不格好な草食恐竜のような、あんな姿に。
東風谷 早苗:
ちなみに、カエル型も向こうにありますが、
巨大な歩くちゃぶ台になってしまいました。
射命丸 文:
……なかなか難しいんですね。
完成した暁には、また取材させてください。
東風谷 早苗:
はい……。
射命丸 文:
しかし、恐竜……。恐竜と言えば。
胎児が見る夢の内容にも、あった気がするわ。
射命丸 文:
こいしちゃんのスペルカードの3段階目は、
あちこちから伸びる緑のツルのような弾幕。
射命丸 文:
もしかしたら、こういうヘビのようなものが
ルーツだったりするのかもしれないわね……。
古明地 こいし:
ねえ、守矢の巫女さん。
このキラキラしたもの、持ってってもいい?
東風谷 早苗:
ネジとかギアをですか? いいですよ。
尖った部分には気を付けてくださいね。
射命丸 文:
ふふ、なんだか楽しそうね。……さて。
こいしさーん! 次の取材に行きますよー!