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永遠亭
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宇佐見 菫子:
お邪魔しまーす!
それでえっと……、新薬の実験だっけ?
鈴仙・優曇華院・イナバ:
ええ、ぜひとも菫子さんに
協力していただければと。
鈴仙・優曇華院・イナバ:
これは、夢を通じて物語の世界を自由に歩ける
胡蝶薬という薬でして……。
宇佐見 菫子:
物語の世界を自由に……。
鈴仙・優曇華院・イナバ:
もともとは、師匠がユメミタマと夢魂の研究を
していて、そこから生まれた副産物なんです。
鈴仙・優曇華院・イナバ:
一応、私も試しているので、ある程度の効果と
安全性は確認できているのですが……。
宇佐見 菫子:
んん? それなら今回の実験、
私じゃなくてもいいんじゃない?
鈴仙・優曇華院・イナバ:
いえ、師匠が言うには、夢を通じて幻想郷に
来ている貴方ならば薬との親和性が高く……。
鈴仙・優曇華院・イナバ:
よりはっきりとした効果が出ると思われるので、
ぜひとも試したいんだそうです。
宇佐見 菫子:
なるほどね。つまり、私は
実験にうってつけのモルモットってわけか。
宇佐見 菫子:
……よし、やるわ!
鈴仙・優曇華院・イナバ:
本当ですか! ありがとうございます。
では、こちらが薬です。
鈴仙・優曇華院・イナバ:
どんな結末でもいいので、物語が終われば、
必ず目が覚めます。ぜひ楽しんでくださいね。
宇佐見 菫子:
へぇー、それなら安心だね。……ごくんっ。
あ、ちなみに、どんな話なの?
鈴仙・優曇華院・イナバ:
有名な童話だそうです。なんて言ったかな……。
あ、そうそう。不思議の国の……。
宇佐見 菫子:
う……、ううん……。
宇佐見 菫子:
あれ……? ここは、竹林の入り口……?
私、さっきまで永遠亭にいたはずなのに……。
宇佐見 菫子:
ってことは、つまり、ここが夢の中?
宇佐見 菫子:
でも、童話の世界にしては、周りの様子は
幻想郷と変わってないような……、おやっ?
鈴仙・優曇華院・イナバ:
わああ! もうこんな時間!
まずい、遅刻する!
宇佐見 菫子:
鈴仙さん……、時計を見ながら慌ててた?
これって、もしかして……!
宇佐見 菫子:
はあはあ、やっと追いついた……。
って、うわっ! こんな所に、大きな穴が!
宇佐見 菫子:
鈴仙さんがここに飛び込んだ、
ということは……。
宇佐見 菫子:
やっぱりそうだ!
ここは、あの不思議な童話の世界なんだ!
宇佐見 菫子:
それにしても、鈴仙さんが白ウサギ役かぁ。
いつも真面目だもんね。
宇佐見 菫子:
よし。それじゃあ、物語の結末を見にいこう!
……えいっ!
宇佐見 菫子:
あいたたた……。
ずいぶん長い縦穴だったなぁ……。
宇佐見 菫子:
えっと、ここは紅魔館のホール?
ん? あそこにあるのは、もしかして……。
宇佐見 菫子:
やっぱり! 小さな扉と鍵だ!
とすると近くに……。あった、薬瓶!
宇佐見 菫子:
たしか……、これで体を小さくして、
その後はケーキを食べて大きくなるんだよね。
宇佐見 菫子:
それで、いろんなことがあってから、
もう一度この部屋に戻ってくる……だったかな。
宇佐見 菫子:
でも、どうしよう……。
このまま、扉の先に行ってみようかな……?
宇佐見 菫子:
元のお話と違うことをするとどうなるのか、
ちょーっと気になるしなぁ……。
宇佐見 菫子:
うーん……。まあ、どんな展開でも
お話が終われば大丈夫って言ってたし。
宇佐見 菫子:
そうと決まれば、さっそく鍵を開けて、薬を飲む!
……んぐっ。
宇佐見 菫子:
わあ! 本当に小さくなった!
それで、扉の向こうはっと……。
宇佐見 菫子:
外は綺麗なお庭だ! あっ、もしかして、
女王様の所までショートカットできちゃうのかも?
宇佐見 菫子:
よーし、行ってみよう!
宇佐見 菫子:
あ、あれ? なんで? 確かに綺麗な庭園が
見えてたのに、出てきてみたら……。
宇佐見 菫子:
こ、ここって……、竹林じゃん!?