-------------- 紅魔館 -------------- レミリア・スカーレット: その装飾は、あっちに飾って。それはこっち。 うん、いい感じになってきたわね。 パチュリー・ノーレッジ: あら、ずいぶん準備が進んでるじゃない。 パチュリー・ノーレッジ: ハロウィンパーティを開くって言ってたけど、 冗談じゃなかったのね。 レミリア・スカーレット: 当然でしょ。それに、元はと言えば、 あなたが言い出したのよ。 レミリア・スカーレット: 外の世界では、この時期に ハロウィンっていう、お祭りをやるって。 レミリア・スカーレット: やるからには、最高のパーティにしてみせるわ! さーて! しっかり準備をしなくっちゃ! パチュリー・ノーレッジ: ……楽しそうで何よりね。 さてと、私も仮装の準備をしようかしら。 フランドール・スカーレット: あれ? パチュリー。何を持ってるの? 大きな……、帽子? パチュリー・ノーレッジ: ああ、フラン。これはハロウィンの仮装よ。 パチュリー・ノーレッジ: 本によれば、外の世界の魔法使いは、 この黒い三角の帽子を被るんですって。 フランドール・スカーレット: ふ~ん。そういえば、 なんでハロウィンって、仮装をするのかしら? パチュリー・ノーレッジ: 外の世界ではね、ハロウィンは、 生者と死者の世界が繋がる日らしいの。 パチュリー・ノーレッジ: 死者の世界から悪霊や怪物や悪魔が現れて、 生者に悪さをしていくらしいわ。 パチュリー・ノーレッジ: 仮装をするのは、その悪さから身を守るため。 まあ、そんなことで防げるとは思えないけど。 フランドール・スカーレット: へえ~。悪さっていうのは、 具体的に、どんなことをされるの? パチュリー・ノーレッジ: 大抵は他愛もないイタズラね。 何かをねだったりとか、びっくりさせたりとか。 フランドール・スカーレット: な~んだ。そんなことだったら、 幻想郷の妖怪たちと、あんまり変わらないわね。 パチュリー・ノーレッジ: ……ああでも、こんな話もあったっけ。 カボチャ頭の殺人鬼の話。 フランドール・スカーレット: カボチャ頭の……殺人鬼? パチュリー・ノーレッジ: そう。ハロウィンの夜に次々と生者を襲い、 命を奪っていく殺人鬼の伝説……。 パチュリー・ノーレッジ: 悪霊や怪物とも言われてるけど、カボチャの 被り物をしてるから、正体はわからないそうよ。 フランドール・スカーレット: へえ、ずいぶん悪趣味なやつね。正体も 明かさずに命を狙うなんて、かなり生意気だし。 フランドール・スカーレット: もし現れたら、私が懲らしめてやるわ。 二度と悪さをしないように。 パチュリー・ノーレッジ: そう簡単にはいかないみたい。本によると、 そいつは神出鬼没で、捕まえた人はいないんだって。 パチュリー・ノーレッジ: ひとたび襲われると、身動きを封じられて、 そうなったら、死を覚悟するしかないそうよ。 フランドール・スカーレット: ふ、ふ~ん。それはちょっと厄介かもなぁ……。 パチュリー・ノーレッジ: まあ、あくまでも本の中の話だから。 そう警戒する必要はないわ。 フランドール・スカーレット: それもそうね。 そんなやつ、いるわけないもんね。 -------------- パーティ当日 -------------- レミリア・スカーレット: さあ、ハロウィンパーティを始めるわよ! みんな、グラスは持ったかしら? かんぱーい! パチュリー・ノーレッジ: パーティだからって、こんなに照明を使って……。 どこから電気を引いてるのかしら? パチュリー・ノーレッジ: それにしても、ずいぶん大勢集まったわね。 ミイラにゴブリン……ちゃんと仮装もしてるし。 パチュリー・ノーレッジ: そういえば、フランの姿が見えないわ。 どんな仮装をしたのかしら? フランドール・スカーレット: きゃああああああ!! パチュリー・ノーレッジ: ……え? この声? フランドール・スカーレット: パ、パチュリー! 大変よ、大変なの! パチュリー・ノーレッジ: そんなに慌てて、どうしたのよ? 何があったの? フランドール・スカーレット: じ、実はさっき、私、見ちゃったの。 廊下の奥で、例の……、 フランドール・スカーレット: カボチャ頭の殺人鬼を! パチュリー・ノーレッジ: カボチャ頭……って、それ本当? 何かの見間違いじゃない? フランドール・スカーレット: 本当よ! 本当にいたんだってば! 早く逃げないと、私たちみんな襲われちゃうわ。 フランドール・スカーレット: きゃあっ!? こ、今度は何? パチュリー・ノーレッジ: 停電? でも、どうして……。 パチュリー・ノーレッジ: あ、戻ったわね。なんだったのかしら。 フランドール・スカーレット: ……っ!? パ、パチュリー、あれ……! パチュリー・ノーレッジ: えっ!? そんな、まさか……。 パチュリー・ノーレッジ: レミィが、血まみれで倒れてる……!?