--------------
幻想昇竜戦 決勝戦
--------------
射命丸 文:
さあ、始まりました。幻想昇竜戦、決勝戦!
実況は私、射命丸文。
射命丸 文:
解説は、河城にとりさんでお送りします。さて、
両者とも、手堅いスタートを切ったようですね。
河城 にとり:
そうですね。双方、飛車先の歩を突いてから
金を上げています。相掛かりの戦形でしょう。
射命丸 文:
なるほど。……お互いに歩を一枚持った状態で、
角道を開ける。定石通りの展開が続いています。
犬走 椛:
相掛かりか……。それなら、先手必勝ね。
射命丸 文:
犬走選手、早くも4筋の歩を突いた!
にとりさんは、何を狙った一手だと見ますか?
河城 にとり:
おそらく、右四間飛車ですね。多くの駒を
攻めに活用できる戦法で、攻撃力抜群です。
射命丸 文:
さあ、対する八意選手はどう出るか?
……すぐに6四歩と応じましたね。
河城 にとり:
こちらも銀を前に出す作戦でしょう。
桂馬を活かすことを考えると、5四でしょうか。
犬走 椛:
狙いは同じ……? でも、角の利きがある、
こちらが有利に攻められるはず。
射命丸 文:
端歩を突きながら、構えを作る両者ですが……。
おや? 陣形を少し整備しましたね。
河城 にとり:
攻撃力のある戦法でも、守りは大切ですからね。
八意 永琳:
ふむ……そう動いてくるか。
それなら、ちょっと攻めてみようかしら。
射命丸 文:
角換わりを警戒し、犬走選手が守備を固めます。
……が、八意選手、角交換からの王手としました!
河城 にとり:
上手く駒を進めましたね。さて、ここからは
相手の角打ちを警戒しなければならない展開です。
犬走 椛:
ふー……。よし、集中。この後は……そうね。
6筋を睨んでいる銀を排除しなくちゃ。
八意 永琳:
これは、銀交換かしらね。いいわ。
それじゃあ、守りの銀を上げて、兜矢倉を……。
射命丸 文:
さあ、お互いの攻め手をつぶしあう、熱い展開に
なってきました。両者一歩も引かない激戦です!
八意 永琳:
……まだ、主導権は渡って来ないわね。
とりあえず、7筋の歩を進めておきましょうか。
射命丸 文:
犬走選手、2五桂からの怒涛の攻め!
駒損なしで馬を作ります。が、しかし……!
犬走 椛:
8八歩打ち!? これは想定外だ……。
仕方ない、7筋を薄くしても金で取らないと。
射命丸 文:
八意選手、手薄になった7筋に飛車を振ります。
犬走選手は、その飛車を狙って動きますが……?
河城 にとり:
しかし、歩をタダで取られ、銀と桂馬の交換に。
馬で追うも逃げられ、収穫は銀一枚のみです。
射命丸 文:
厳しい結果になりましたねー。犬走選手、
なかなか思った通りに攻められない様子です。
犬走 椛:
くっ……。このままでは、押し切られる。
なんとかして、戦いの主導権を取り戻さないと!
射命丸 文:
犬走選手、4一銀打ちで二枚の金に両取りをかけ、
金を取ります! 見事、敵陣を崩しました!
射命丸 文:
そして再度、飛車に狙いをつけた!
金で飛車を追いかけます!
河城 にとり:
八意選手の飛車は、いい位置にいますからね。
なんとしても、排除したいところです。
八意 永琳:
どうしても、飛車が邪魔なようね……。
そう簡単に取れるとは、思わないでちょうだい。
射命丸 文:
逃げる、逃げる!
八意選手、徹底的に飛車を逃がし続けます。
河城 にとり:
しかも、隙があれば、すぐにでも飛車で
攻め込めるような位置取りを維持していますね。
犬走 椛:
だめだ……。このままでは埒があかないわ。
馬を取られるのは、明らかに不利だけど……。
犬走 椛:
それでも今は、この飛車を取って
自陣の守りを固めておかなければ!
射命丸 文:
犬走選手、馬で飛車を取りました!
しかし、馬は即座に八意選手に取られてしまう!
射命丸 文:
メインとなる攻め駒を失った犬走選手、
ここから、攻めに転じることができるのかー!?
河城 にとり:
さて、ここでいったん休憩を挟みます。
皆様、定刻までにお戻りください。
犬走 椛:
え、もう休憩?
でも、時間を得られたのは幸いだわ。
犬走 椛:
ここから巻き返す攻めの一手を、
なんとしても考え出さなくては……!