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人間の里
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物部 布都:
一通り聞いて回りましたが、
里では、あの黒い炎は起きていないようですね。
豊聡耳 神子:
そのようだな。となると、
あれはいったいなんだったのか……。
物部 布都:
それなのですが、太子様。
実は先ほど、神霊廟で妙な紋様を……
里の人間:
うわぁぁっ! 火が、火があっ!
豊聡耳 神子:
なっ……、火事か!? どこだ!
物部 布都:
た、太子様、ご覧ください!
里のあちこちで、黒い炎がっ!
豊聡耳 神子:
まずい、このままだと里全体が火事になる。
もう一度、龍の像で雨を降らせるぞ!
豊聡耳 神子:
ふぅ。燃えていたのは、ここで最後のようだな。
どうやら、無事に鎮火できたようだ。
物部 布都:
……あっ! 太子様、あれを!
あの焼け跡の下です!
豊聡耳 神子:
焼け跡? ふむ、何やら黒い紋様が
描かれているようだな。
物部 布都:
これ……。神霊廟の燃え残りの下にも、
同じものがありました!
豊聡耳 神子:
どうやら、調査の必要がありそうだ。
あの黒い炎と関係があるかもしれない。
豊聡耳 神子:
……ん? この紋様、今動かなかったか?
物部 布都:
まさか……。あれ、さっきと場所が違いますね。
あ、あれ? また違う場所に……!?
物部 布都:
あああっ!?
紋様が、地面を伝って逃げたぁっ!?
豊聡耳 神子:
見失ったか……。しかし、
まるで意思を持っているかのような動きだったな。
豊聡耳 神子:
とりあえず、今はケガ人の手当てが先だ。
あの紋様については、あとで考えるとしよう。
物部 布都:
う~む。里の者の話によると、焚いていた火が
突然黒い炎となり、燃え上がったらしいですね。
豊聡耳 神子:
神霊廟の時と同じ、か。
里の者には、火を使わぬよう注意したが……。
豊聡耳 神子:
原因を突き止めなければな。しかし、
あの紋様、魔法使いが扱う魔法陣のようだった……。
アリス・マーガトロイド:
あっ、ごめんなさい。
ちょっと急いでるから、通してちょうだい。
豊聡耳 神子:
おや? あそこにいるのは、人形遣いか。
この騒ぎの中、いったいどこへ……。
物部 布都:
……ハッ! 太子様、あの者は魔法使いです!
もしや、魔法陣について何か知っているのでは?
豊聡耳 神子:
なるほど。可能性はあるかもしれない。
物部 布都:
さっそく追いかけ、話を聞いてまいります!
この事件、絶対に解決せねばなりません!
豊聡耳 神子:
わかった。私は、神霊廟の修繕をしておこう。
黒い炎については、お前に任せるよ。
物部 布都:
お任せください!
この布都が、必ずや解決してみせましょう!