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人間の里
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博麗 霊夢:
まったく、なんてことしてくれたのよ。
勝手に収穫祭の成功を請け負うなんて。
東風谷 早苗:
まあまあ、いいじゃないですか。
信者の皆さん、とても安心した様子でしたよ。
博麗 霊夢:
そんなのはどうでもいいのよ。これは、
豊穣の神穣子と、信者の間のいざこざ。
博麗 霊夢:
それを取り持ってやるなんて……。何が悲しくて
よその信仰を世話してやらなきゃいけないのよ?
東風谷 早苗:
やると言ったら、やるんです!
さあ、収穫祭大成功作戦を考えましょう!
博麗 霊夢:
はあ。焼き芋もできないし、とんだ厄日ね……。
じゃあ、さっさと穣子を蔵から出しましょ。
博麗 霊夢:
蔵の前で火を焚いて、煙を送り込むのはどう?
ケムくて、すぐに出てくるかも。
東風谷 早苗:
警察VS.立てこもり犯って感じですね!
じゃあ落ち葉を集めて……って、ないんでした。
???:
ネズミか害虫にお困りですか?
それなら、うちにもいい商品がありますよ。
鈴仙・優曇華院・イナバ:
……って。なんだ、貴方たちか。
あいにく、引きこもりに効く薬は持ってないわ。
東風谷 早苗:
鈴仙さん?
あれ、私たちの事情って……
鈴仙・優曇華院・イナバ:
神様を収穫祭に参加させたいんでしょ?
薬を売っているとき、小耳に挟みましたよ。
鈴仙・優曇華院・イナバ:
けど、煙はどうかと。仮に出てきたとして、
和やかにお祭りに出る気分にはならないのでは?
博麗 霊夢:
う、それは……。
じゃあ、代案を出しなさいよ、代案を。
鈴仙・優曇華院・イナバ:
そうくると思った。
では、マル秘の作戦を授けましょう。
鈴仙・優曇華院・イナバ:
状況から察するに、穣子さんは怒っているわ。
会話さえ拒むあたり、よっぽどね。
鈴仙・優曇華院・イナバ:
てことは、つまり! 許してもらえばいいのよ!
相手は神様だから、たとえば……
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妖怪の山
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東風谷 早苗:
穣子さんのことを想いながら!
素晴らしい収穫物を手に入れ!
東風谷 早苗:
真心こめて蔵の前にお供えすること……
ですって、霊夢さん!
博麗 霊夢:
うー。あの兎め、何がマル秘作戦よ。
ものすごく手間がかかる方法じゃない。
東風谷 早苗:
ですが、納得感はありますよ? 怒った神様に
供物を捧げるのは、古くからの定番ですし。
東風谷 早苗:
収穫物を供えるというのも、
穣子さんの性質によく合っている気がします。
博麗 霊夢:
まあねー。けど、豊穣の神が
もらって嬉しい収穫物って、何かしら?
博麗 霊夢:
どうせなら、信者も滅多にくれないような、
秋の珍しいものがいいわよね。たとえば……。
博麗 霊夢:
松茸……とか……?
東風谷 早苗:
それはいいですね! それでは、この山の
最高の松茸、二人で採り尽くしちゃいましょう!
???:
……そうはさせないわ。貴方たちは、
今日、何一つ手に入れることはできない。
蓬莱山 輝夜:
だって、この山の美味しいものは、
すべて私がいただいてしまうもの。