--------------
白玉楼
--------------
東風谷 早苗:
え、えええっ!? 今のが
報酬ってことは、私たち、それじゃあ……!
博麗 霊夢:
穣子に供える収穫物を、
自分たちで食べちゃった……ってこと?
東風谷 早苗:
あ、あの。もう少しだけいただけないでしょうか?
私たち、どうしても収穫祭を成功させたいんです。
西行寺 幽々子:
収穫祭、ねえ。貴方たちの事情は、
噂好きの霊たちから聞いているけど、それが何?
西行寺 幽々子:
与えられた実りに感謝し、
次の季節により幸いを祈るのが、人の収穫祭。
西行寺 幽々子:
でも、そんな生者の営みは、私には関係ないこと。
これ以上、協力してあげる義理はないわ。
蓬莱山 輝夜:
というか貴方たち、信仰難の神社の巫女よね?
どうして、よその神様の信仰なんて支えてるの?
博麗 霊夢:
ぐ、ぐぬぬ。それは……。
東風谷 早苗:
お、お願いしますっ!
そこをなんとか、このとおり~~っ……!!
--------------
守矢神社
--------------
博麗 霊夢:
取りつく島もなく、追いだされたわね。
なんだか、してやられたって感じだけど……。
東風谷 早苗:
はあ、一日かけて何も手に入れられないなんて。
どうしよう。これじゃあ、明日の収穫祭が……。
博麗 霊夢:
……わからないわね。
東風谷 早苗:
え?
博麗 霊夢:
どうして、そんなに頑張るの?
収穫祭が成功しても、私たちに見返りはない。
博麗 霊夢:
まあ、失敗すれば信者は落ち込むだろうし、
穣子は信仰を失って存在が危うくなるかも。
博麗 霊夢:
でも、それだけよ。別の神様を祀ってる
私たちには関係ないし、責任だってないでしょ?
東風谷 早苗:
それは……、そうかもしれません。
実を言うと、私も最初はそう思ってましたし。
博麗 霊夢:
はあ? じゃあ、なんで引き受けたのよ。
しかも、あんな必死になってまで。
東風谷 早苗:
霊夢さん。私たち守矢神社が、
幻想郷へ移り住んできた理由、覚えていますか?
博麗 霊夢:
え? 外の世界で信仰が得られなくなって、
諏訪子たちの存在が、危うくなったからでしょ?
東風谷 早苗:
はい。幻想郷へ来る前、
私は、人々から信仰を集めるのに必死でした。
東風谷 早苗:
このままでは、神様が消えてしまう。
そう思うと恐ろしくて、毎日駆けずりまわって。
東風谷 早苗:
……でも、どうにもならなかった。
一度消えた信仰心は、簡単には戻らないんです。
博麗 霊夢:
外の人間は、神を信じてないって、前に神奈子が
言ってたっけ……。あんたも苦労したのね。
東風谷 早苗:
結局、ここに来たことで、私たちは助かりました。
ですが、あの時の気持ちは、今でも忘れられません。
東風谷 早苗:
だから、今朝の話を聞いた時、思ったんです。
幻想郷で、これからも私の神様を生かすために……
東風谷 早苗:
そして、幻想郷の信仰を守っていくためにも、
人々と神様の絆は、守っていくべきではないかと。
博麗 霊夢:
だから、この依頼を受けたの?
守矢の信仰集めを放ってまで。
東風谷 早苗:
そういうわけじゃ……。もちろん、守矢の神様を
信仰してもらえるのなら、それが一番ですよ?
東風谷 早苗:
けど、それだって、神を信じ、崇敬する心が
人になければ、望めないことですから。
博麗 霊夢:
ふーん……。
博麗 霊夢:
ま、一理あるかしら。幻想郷の信仰が、
いつまでも今のままあるとは限らないし。
博麗 霊夢:
それに、人と神様を繋ぐのが、
巫女の本来の仕事だものね。
東風谷 早苗:
さすが、霊夢さん。
貴方なら、きっとわかってくれると思っ……
東風谷 早苗:
あっ、そっか!
博麗 霊夢:
ん? なによ、急に顔色を変えて。
東風谷 早苗:
収穫物をお供えする以外に、穣子さんが
蔵から出たくなる方法を、思いつきました!
東風谷 早苗:
これは、私たちならではの作戦。霊夢さんと
二人なら、きっとうまくいくと思います!
博麗 霊夢:
え、本当に?
私と二人でって、何をするつもりなの?
東風谷 早苗:
はい! 霊夢さん、貴方には……、
東風谷 早苗:
今から、脱いでもらいます!
博麗 霊夢:
……は?
博麗 霊夢:
わっ、ちょっ……ええっ!?
な、何すんのよ、やめっ……あーーーーっ!?