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博麗神社
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摩多羅 隠岐奈:
大掃除とは、歳神を迎えるための、
『煤払い』という行事が由来である。
摩多羅 隠岐奈:
一年間の煤や汚れを払い、身や住まいを清め、
真新しい気持ちで、真新しい年を迎えるのだ。
爾子田 里乃:
とうちゃーく!
お師匠様の扉のおかげで、あっという間だったわ。
丁礼田 舞:
だねー。
さっそくお手伝いを……っと、巫女はどこかな?
高麗野 あうん:
あ、来ましたね! お待ちしていました!
ささ、こっちですよ。
爾子田 里乃:
あれ、狛犬?
高麗野 あうん:
隠岐奈様から聞いてます。
年越し準備のお手伝いをしていくんですよね?
高麗野 あうん:
私は、お二人をサポートするよう言われています。
これから大晦日まで、よろしくお願いします!
丁礼田 舞:
なるほどねー。こっちこそよろしく!
ところで、巫女が見当たらないけど……。
高麗野 あうん:
ああ。霊夢さんなら、買い出しに行っています。
その間に、私たちが大掃除をするんですよ。
爾子田 里乃:
そういうことか。
なら、さっそく大掃除を始めましょ。
高麗野 あうん:
まずは、役割を分担しましょうか。
どちらか、私について来てもらえますか?
丁礼田 舞:
はーい! 僕がついていきまーす。
高麗野 あうん:
わかりました!
では、里乃さんは窓拭きをお願いします!
高麗野 あうん:
綺麗になったら、次の窓を拭いてください。
よろしくお願いしますね。
爾子田 里乃:
いいよー。任せといて。
高麗野 あうん:
では、舞さん。私たちは倉庫に行って、
いらないものを片づけていきましょう!
丁礼田 舞:
はいはーい。ようし、とことんやるぞ!
丁礼田 舞:
えーと、虫食いだらけの巻物はー、いらなーい。
傷だらけの人形もー、いらなーい。
丁礼田 舞:
これも捨てて、あれも捨ててーっと。
うん、だいぶすっきりしてきたね!
高麗野 あうん:
ちょ、ちょっと! 待ってください、舞さん!
なんでもかんでも捨てすぎですよーっ!
丁礼田 舞:
えー、そうかなー? 全然使ってなさそうだし、
捨てた方がいいと思うけど。
丁礼田 舞:
ほら、この道具とかこの服とか、
ホコリ被ってるし。
高麗野 あうん:
いやいや。もしかしたら付喪神になったり、
呪われたり、面倒が起きるかもしれませんよ。
高麗野 あうん:
使われていなさそうでも、捨てる前に
大丈夫そうか、しっかり確認しましょう!
丁礼田 舞:
そっかー。あ、それじゃ、
外にあったおっきい箱は捨ててもいいよね?
高麗野 あうん:
おっきい箱?
丁礼田 舞:
本殿の前に置かれてるやつだよ。
特になんの魔力も神通力も感じなかったし。
高麗野 あうん:
本殿前に……ってそれ、お賽銭箱!?
ダ、ダメです! 捨てるなんて絶対にダメ!
丁礼田 舞:
えっ。あの箱、まだ使うの!?
すごく古いし、中身も空っぽだったよ?
高麗野 あうん:
それは……、言わないであげてください。
高麗野 あうん:
はぁ。分別は終わりましたけど、
一時はどうなることかと……。
丁礼田 舞:
里乃の方はうまくやってるかな?
そろそろ窓拭きも終わってたりして。
爾子田 里乃:
くぅ。あとちょっと、もう少しなのに!
高麗野 あうん:
さ、里乃さん!
まだその窓を拭いてたんですかっ!?
爾子田 里乃:
あっ、二人とも戻ってきたんだ。
この窓、なかなか綺麗にならなくて……。
爾子田 里乃:
ほら、ここ。くすんでるでしょ?
これがなかなか取れなくて、次に進めないのよ。
丁礼田 舞:
えー。じゅうぶん綺麗だと思うけど。
里乃は慎重派だからなぁ。
高麗野 あうん:
も、もうその窓はいいから、次をお願いします!
このペースじゃ、夜になっちゃいますから!
高麗野 あうん:
舞さんも、窓拭きを手伝ってあげてください!
三人で、なんとかやりきりますよ……!
高麗野 あうん:
ふぅー。なんとか終わりました。
高麗野 あうん:
それにしても、お二人がここまで
掃除に不慣れだったとは……。
爾子田 里乃:
後戸の国では、掃除の必要がないからねぇ。
丁礼田 舞:
なんにせよ、今日の手伝いは完了だねー!
この調子で明日もがんばろー!
高麗野 あうん:
う~ん、大丈夫かなぁ……。
摩多羅 隠岐奈:
フフフ……。
三人とも、うまくやっているようだね。
摩多羅 隠岐奈:
舞と里乃も、あの調子なら大丈夫だろう。
さて、私は私で例の目的を進めるか……。