爾子田 里乃:
今日は28日ね。扉を開けてみるわ。
いったいどんな手伝いなのかしら?
爾子田 里乃:
えーと、「正月飾りの準備」?
高麗野 あうん:
あっ! あそこの扉が開きましたよ!
丁礼田 舞:
お師匠様が開けてくれたんだね。
それじゃ、行ってみよー!
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守矢神社
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東風谷 早苗:
みなさん、ようこそいらっしゃいました!
人手が足りなかったので、本当に助かります。
爾子田 里乃:
今日は守矢神社での手伝いだったのね。
それで、具体的には何をしたらいいの?
東風谷 早苗:
みなさんにしてもらいたいのは、
里の人たちに配る、しめ飾り作りです。
東風谷 早苗:
信仰が増えればと思い、各家に配ることに
したのですが、作ってみると結構大変で……。
爾子田 里乃:
なるほどねぇ。で、そのしめ飾りって、
どうやって作るの?
東風谷 早苗:
まず、ここにあるしめ縄に、
松やお花などの飾りを付けていきます。
東風谷 早苗:
全体のバランスを見ながら配置に気をつかい、
飾りが落ちないように留めてください。
丁礼田 舞:
なんだ、思ったより簡単そうだね。
まずしめ縄に、花の飾りを付けてっと……。
丁礼田 舞:
あれ? うまく付かないや。
留め方が悪いのかな?
爾子田 里乃:
舞ってば、こういうところは不器用ね。
こういうのは、丁寧にやっていけばすぐ……。
爾子田 里乃:
あれれ? お手本みたいにうまくつかない。
えー、どうしてだろう……。
高麗野 あうん:
早苗さーん、ひとつできました。
こんな感じでしょうか?
東風谷 早苗:
どれどれ……。まあ、すごい!
とても綺麗にできているわ。
東風谷 早苗:
飾りにズレもないし、バランスも完璧!
お手本みたいな出来栄えね。
丁礼田 舞:
いいなー、あうん。そんなすぐにできて。
僕も負けてらんないね。
爾子田 里乃:
ところで、このしめ飾りって、
いつまでに、どれくらい作ればいいの?
東風谷 早苗:
ええっと、今日の日没までに
ここにある材料分、全部……ですね。
丁礼田 舞:
ええっ! この山を全部!?
しかも日没って! 今は日が短いのに!
爾子田 里乃:
もたもたしてる暇はないわね……。
とにかく、やるわよ!
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2時間後
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爾子田 里乃:
うぅ……、ダメ~! もう全然終わらない!
材料も減ってる気がしないし……。
東風谷 早苗:
せめて、もう少し人手があれば……。
高麗野 あうん:
それなら、いい方法があります! それっ!
爾子田 里乃:
あ、あうんが二人になった!?
高麗野 あうん:
分身です! 私と同じ動きしかできませんが、
今はむしろ好都合。ここからは、二倍働きますよ!
丁礼田 舞:
すごい、すごいよ、あうん!
よーし、里乃。僕たちも、もっと頑張ろう!
爾子田 里乃:
ええ、もちろん。
あうんよりも、いっぱい作ってやるんだから!
摩多羅 隠岐奈:
煤払いを済ませた家は、歳神を迎えて祀るため、
様々な正月飾りを飾る。
摩多羅 隠岐奈:
中でもしめ飾りは、そこが神聖な場所だと示し、
歳神を招く目印になる重要なものなのだ。
丁礼田 舞:
……お、終わったあぁ~っ!
爾子田 里乃:
頑張れば、なんとかなるものね……。
あうんは、分身お疲れ様。
高麗野 あうん:
さ、さすがにへとへとですよぅ……。
でも、お役に立てて何よりです。
東風谷 早苗:
みなさん、ご苦労様でした! おかげ様で、
なんとか約束の時間に間に合いました。
東風谷 早苗:
里の人が取りに来るまで、まだ時間がありますね。
少し休んでいてください。お茶を淹れてきます。
東風谷 早苗:
ふー。よかった。
一時はどうなるかと思ったけど……。
???:
その様子だと、三人は役に立ったようだね。
東風谷 早苗:
あら? 今の声は……?
摩多羅 隠岐奈:
やあ。急に現れて、すまないね。
どうだったかな、あの者たちの働きぶりは。
東風谷 早苗:
貴方でしたか。とっても助かりましたよ。
みなさんを派遣していただき、感謝しています。
摩多羅 隠岐奈:
なにより、なにより。……ところで、
ひとつ相談があるんだが、聞いてもらえるかな?
東風谷 早苗:
はぁ。相談ですか?
それはまた、いったいどんな……?
摩多羅 隠岐奈:
フフフ、なに。簡単なことさ……。