高麗野 あうん:
さて、今日のお手伝いはなんでしょうか?
29日の扉を開けてみますよ。よいしょっ。
爾子田 里乃:
「おせちの準備」か……。
今日は料理をするってことかしら?
丁礼田 舞:
かなー? とりあえず、行ってみよう!
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紅魔館
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十六夜 咲夜:
あら、ようやく来たわね。お手伝いさんたち。
高麗野 あうん:
あっ、咲夜さん! なるほど、
今日は紅魔館で、おせち作りを手伝うんですね。
十六夜 咲夜:
ええ、そうよ。クリスマスの片づけに追われて、
年越し準備の人手が足りなくて。
十六夜 咲夜:
というわけで、さっそくお願いなんだけど……。
丁礼田 舞:
おー! 何をすればいいのかな?
煮る? 焼く? 切る? 味見でもいいよ!
十六夜 咲夜:
はい、これ。買ってくるもののメモね。
丁礼田 舞:
……んん?
十六夜 咲夜:
おせちに使う材料がね、まだそろってないのよ。
だから、お使いよろしくね。
爾子田 里乃:
ええと、なになに? 絹さやに栗……って
そんなの、今の季節に手に入るわけないじゃん!
十六夜 咲夜:
まあ、そう言わずに。手に入らないものも
あると思うけど、なるべく調達してきて。
高麗野 あうん:
了解しました! さっそく、里へ行ってみます!
摩多羅 隠岐奈:
おせちは、季節の節目に豊作の感謝を伝えるため
神に供える供物が元となった風習だ。
摩多羅 隠岐奈:
黒豆は邪気払い、栗きんとんは金運……。
料理には、おめでたい意味が込められている。
丁礼田 舞:
ええっと……。
酒粕にお味噌、黒豆と昆布は買えたね。
高麗野 あうん:
でも、里芋やごぼうなんかは
ほとんど売り切れてましたね……。
爾子田 里乃:
頼まれてたものの半分も買えてないわね。
これじゃ、中身スカスカのおせちになっちゃう。
高麗野 あうん:
それは、さみしいですね……。なんとか、
他の野菜や果物が用意できればいいんですが。
丁礼田 舞:
あっ、そうだ! 森に行けば、
代わりになるものがあるかもしれないよ。
爾子田 里乃:
えっ、森? でも……
丁礼田 舞:
よーし。
そうと決まったら、さっそく行ってみよー!
爾子田 里乃:
あっ! ……行っちゃった。
しょうがない。私たちも行きましょ。
丁礼田 舞:
ああー!! そうだよ! 今は冬じゃん!
爾子田 里乃:
そうよ。冬に作物が実ってるわけないのよ。
舞ってば、おっちょこちょいなんだから……。
丁礼田 舞:
うぅ……。残念だけど、一旦館に帰ろっか。
高麗野 あうん:
そうですね。ここにいても、
野菜が手に入るわけではないですし……。
爾子田 里乃:
……あ、待って。
ねえ、舞。ちょっと、ここで踊ってみてよ。
丁礼田 舞:
踊る? なんで急に……?
丁礼田 舞:
ああっ、そっか! ありがとう、里乃!
僕、踊ってみるよ!
高麗野 あうん:
踊るって……。舞さん、急にどうしたんですか?
爾子田 里乃:
ふふふ。まあ見てなさいって。
ほら、舞が植物の後ろで踊り始めると……。
高麗野 あうん:
わあっ!? す、すごいです!
栗やお芋が、次々と実っていきます!
爾子田 里乃:
舞の踊りで、作物の生命力を引き出したのよ。
うまくいったみたいね。
丁礼田 舞:
大成功!
さ、早いとこ収穫して、館に持って帰ろ!
摩多羅 隠岐奈:
では、よろしく頼むよ。
このことは、くれぐれも他言無用で。
十六夜 咲夜:
わかったわよ。まったく……。
丁礼田 舞:
ただいま戻りましたー……って、お師匠様?
どうして、こんな所に?
摩多羅 隠岐奈:
ああ、たまたま通りかかってね。
三人をよろしくと伝えてたんだ。
摩多羅 隠岐奈:
私は先に戻っているよ。
お前たち、手伝いをしっかりな。
爾子田 里乃:
は、はい。わかりました……。
十六夜 咲夜:
戻ったのね。材料は調達できた?
結構、時間がかかったようだけど。
高麗野 あうん:
はい、それはもちろん!
舞さんのご活躍で、ちゃんと調達できました!
十六夜 咲夜:
あら、いいじゃない! 野菜や果物なんかは、
まるで収穫したてみたいな新鮮さだし。
十六夜 咲夜:
これなら立派なおせちが作れそうね。
あなたたち、おせちを作るのも手伝ってもらえる?
丁礼田 舞:
もっちろん! 絶品のおせちを作ろうね!