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博麗神社
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爾子田 里乃:
除夜の鐘が聞こえてきたわ。
人間たちは、こうして年を越すのね。
丁礼田 舞:
おそばもできたよー!
すっごく美味しそうにね。
丁礼田 舞:
そういえば、お師匠様の紙に書いてあったけど、
除夜の鐘とおそばにも意味があるんだよね。
爾子田 里乃:
たしか、除夜の鐘が煩悩を払うためで、
おそばが災厄を断ち切るため、だっけ?
丁礼田 舞:
だっけ? なんにせよ、
鐘が鳴り終わらないうちに、みんなで食べよ!
高麗野 あうん:
みなさん、改めてありがとうございました。
初詣も問題なく行えそうです。
霧雨 魔理沙:
間に合ってよかったな。
おかげで、こうしてそばも食えるし。
丁礼田 舞:
あのメイドと巫女も
食べていけばよかったのにねー。
高麗野 あうん:
仕方ありませんよ。大晦日には大晦日の、
新年になれば新年の準備が必要ですから。
摩多羅 隠岐奈:
ご苦労だったな、お前たち。
アドベントカレンダーは完遂できたようだな。
丁礼田 舞:
あっ、お師匠様! 色々あって大変でしたけど、
無事に終わらせることができました!
爾子田 里乃:
人間たちの文化の勉強にもなりました。
様々な習わしやその意味について知ったり……。
丁礼田 舞:
ほんと、新年を迎えるための準備が、
こんなにも忙しいなんて、知りませんでしたよ。
摩多羅 隠岐奈:
はっはっは。よくわかってるじゃないか。
二人には、いい経験になったな。
摩多羅 隠岐奈:
それにしても美味そうなそばだ。
三人とも、私の分も作ってきておくれ。
丁礼田 舞:
わかりました! すぐにお持ちして参ります。
霧雨 魔理沙:
……なぁ、お前に聞きたかったんだが。
なんで、あいつらに手伝いをやらせてたんだ?
摩多羅 隠岐奈:
なんでって、新年会に参加しようとしたら、
手伝いを頼まれたからだけど……。
霧雨 魔理沙:
そんなはずはない。手伝いなんかしなくても、
宴会に参加してるやつは大勢いる。私もそうだ。
霧雨 魔理沙:
新年会への参加は表向きの理由で、
何か他の目的があったんじゃないか?
摩多羅 隠岐奈:
……それなら、舞と里乃を
人間の文化に触れさせるため、かな。
霧雨 魔理沙:
それはさっきから聞いてた。
けど、なんでまたそんなことを?
摩多羅 隠岐奈:
だって、いつか二童子の任から解放されたときに
知識がなかったら困るでしょ?
霧雨 魔理沙:
はぁ……。そりゃまた
ずいぶん回りくどいやり方だなあ。
摩多羅 隠岐奈:
さらに言えば、二人の後継者探しもあるわね。
後継者がいなきゃ、解任もできないから。
摩多羅 隠岐奈:
各地を巡らせて色んな人間に声をかけて……
ま、結局みんな断られちゃったけどね。
霧雨 魔理沙:
本気で探してるようには見えなかったけどな。
あっさり諦めて、取り引きを持ちかけてきたし。
霧雨 魔理沙:
後継者にならない代わりに、
舞と里乃が困っていたら助ける……なんてさ。
霧雨 魔理沙:
ひょっとして、
そっちが本命だったんじゃないのか~?
摩多羅 隠岐奈:
フフフ……。さあ、どうかしらね。
摩多羅 隠岐奈:
ま、それはさておき、
今後も二人が困った時は、よろしくね。
霧雨 魔理沙:
げっ。あの取り引き、まだ続くのか?
摩多羅 隠岐奈:
当然でしょう。
あれは、私にとっても重要な役割を持つからね。
摩多羅 隠岐奈:
皆が舞と里乃を助けることで活動範囲が広がり、
私の存在をアピールすることに繋がるのよ。
霧雨 魔理沙:
なんだよ、それ。
お前の宣伝に協力なんて、絶対嫌だからな。
摩多羅 隠岐奈:
じゃあ、爾子田か丁礼田にでもなる?
霧雨 魔理沙:
それも嫌だけど!
丁礼田 舞:
お師匠様ー! おそばができましたよー!
摩多羅 隠岐奈:
あ、できたみたいね。それじゃ、話はおしまい。
そばを食べながら、ゆっくり年を越しましょう。
霧雨 魔理沙:
はぁ……。まあいいか。
それじゃ、今年も一年お疲れさんでした。
摩多羅 隠岐奈:
ええ。
来年も、どうぞよろしく。