-------------- 命蓮寺ランド -------------- 古明地 さとり: 提案? ……そう。そうなのね。 なんて姑息な……! 聖 白蓮: さすがは、サトリ妖怪。盤外では話が早い。 もちろん、受けてくださいますよね? 博麗 霊夢: ちょっとちょっと、二人だけで進めないでよ。 なんの話をしてるわけ? 古明地 さとり: 私は、借金を返して妹を取り返すため、 こうして大金を稼ぎました。 古明地 さとり: なのに、あの人は、店のディーラーと勝負して 勝ったら妹を返してやると考えているのです。 聖 白蓮: 申し訳ありません。でもね、 私は強いギャンブラー同士の勝負が見たい。 聖 白蓮: お願いします。もっともっと、 熱いギャンブルを見せてください。 古明地 さとり: 意思を曲げるつもりは……、ないようですね。 仕方ありません。これも、こいしのため……。 聖 白蓮: 勝負内容はシンプルです。貴方とディーラー、 手持ちのチップが先になくなったほうが負け。 聖 白蓮: では、紹介しましょう。 貴方と戦う、当カジノ最強のディーラー……。 寅丸 星: 寅丸星です。よろしくお願いします。 寅丸 星: まずは何から始めましょうか。 お好きなゲームで、お相手いたします。 古明地 さとり: 希望はありません。 さっさと勝って、妹と家に帰るだけです。 寅丸 星: では、ブラックジャックを。手札の合計が 21に近いかどうかを、私とあなたで競います。 古明地 さとり: わかりました。 ……最初から本気で行きますよ。 古明地 さとり: さすがに他のディーラーとは違いますね。 あまり表情が表に出ない……。 寅丸 星: 無愛想なだけですよ。……追加は? 古明地 さとり: でも、見えにくいだけですね。このままで。 寅丸 星: こちらの手札は、21を超えたのでバースト。 私の負けです。チップをどうぞ。 博麗 霊夢: やるじゃない! 連続勝ちよ! 向こうのチップも、なくなりかけてる! 古明地 さとり: そろそろ終わりにしましょうか。 あなたの手持ちと同額をベットで。 寅丸 星: わかりました。では参りましょう。 こちらの一枚目は、絵札です。 古明地 さとり: 私は二枚で11か。では、一枚追加で。 ……いいですね。17で勝負します。 寅丸 星: 私は16なので追加を。……23、バーストです。 おめでとうございます。あなたの勝ちです。 古明地 さとり: いいゲームでした。 では、あなたのチップをいただきますよ。 寅丸 星: ええ。こちらをどうぞ。 博麗 霊夢: 負けたのに、平然としてるわね。 なんかこう、くやしー! みたいなのないの? 寅丸 星: いえ、私はディーラーですから、 粛々とゲームを進めるだけです。それに……。 寅丸 星: チップは、まだまだ尽きていません。 ゲームを続けましょう。 古明地 さとり: ディーラーの後ろに、チップの山が……! い、いつの間に!? 寅丸 星: ゲームをしている間に、 勝手に集まって来るんですよ。 博麗 霊夢: ちょっと待ちなさいよ! それって、 あんたの能力でしょ!? なんで使えるの!? 聖 白蓮: それは、私の法力ほうりきで保護されているからです。 聖 白蓮: 財宝を集める彼女の能力は、 カジノ運営に非常に重要な役割やくわりを担になっています。 聖 白蓮: ディーラーとしてゲームテーブルに着く間、 その能力が使えないのでは困るでしょう? 古明地 さとり: ……つまり彼女は、ゲーム中にも 常にチップを集め続けているということ……!? 博麗 霊夢: じゃあ、チップを減らすなんて不可能じゃない! そもそも、そっちだけ能力使うのズルいわよ! 聖 白蓮: ええ。ですが、私は最初から言っていますよ。 もっともっと、熱いギャンブルが見たいとね。 古明地 さとり: ……そう、そういうこと。 あなたはただ、ずっと、ずっと……。 聖 白蓮: ええ。私は面白い勝負を、ずっと見ていたい。 それだけが願いです。 聖 白蓮: 無敵のディーラーと、凄腕のギャンブラー。 この先も、いいゲームを期待していますよ。