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山奥のマヨヒガ
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橙:
朝礼始めるよ! 整列して……、よし。
おはようございまーす!
マヨヒガの猫たち:
にゃー!
因幡 てゐ:
どんなもんかと見に来てみれば、
なかなか手綱を握ってるようじゃないか。
橙:
そうなのよ! みんな、私の言うことを
聞いてくれるようになったんだ! 見てて……。
橙:
そこの三匹! くるっと回って大きく伸び!
橙:
続いて、後ろの二匹!
交差するように後方宙返り!
因幡 てゐ:
おお、すごい。息もぴったり揃ってる!
橙:
でしょでしょ。なんたって、
私は立派なリーダーだからね!
橙:
もう猫たちが命令を聞かずにはしゃぐことも、
私よりあんたに懐くこともないよ!
因幡 てゐ:
ほうほう、すごいじゃないか。
そいつを聞けて何よりだ……。
因幡 てゐ:
それなら、これを使っても大丈夫だよね!
橙:
え?
因幡 てゐ:
ほーら、マタタビまみれの化け猫におなり~!
橙:
ぶわっ!? ま、待って、それは……!
マヨヒガの猫たち:
にゃあああああっ!!
橙:
ぐええええっ! つ、つぶれるうううう!!
因幡 てゐ:
あっはっはっは! 猫が! 猫に!
下敷きにされてる!
因幡 てゐ:
いやー、物に負けるようじゃ
リーダーと言っても、まだまだだねえ!
橙:
こ、こんなのズルだぞ! みんな、どいてよ!
くっそお、マタタビのせいで力が入らない!
因幡 てゐ:
ねえ、そういえば、あの時のリボンの猫って
どこ行ったの? 見当たらないけど。
橙:
その話、今かなあ!? あの子なら、
最近どこかをうろついてるみたい……ぐえっ!
因幡 てゐ:
ぶっ! 顔踏まれてる!
因幡 てゐ:
立派な姿もいいけどさ、
あんたには、こういうのが似合うわね!
橙:
こ、このっ……!
橙:
ちくしょー! いつか絶対、マタタビにも
負けない真のリーダーになってやるんだからー!
リボンの猫:
……にゃーお。
???:
……ふぅ。
なんとか、目途が立ってよかったわ。
???:
藍が式神を憑けた猫を、橙が連れて
幻想郷を巡り……、データを集めてくれた。
???:
おかげで……、ようやく。ようやくよ。
あの境界にスキマを開く方法が、見つかったわ。
???:
これで私も、あちらに行ける。
もちろん、失敗する確率も大きいけれど……。
???:
他にもう手はないわ。なんとか乗り込んで、
あの女の野望を、うち砕いてやりましょう。
???:
これが、最初で最後のチャンスね。
さあ、始めるわ……!
???:
……なっ、攻撃!? こんなに早く!?
まさかあの女、ずっと気付いて……!
???:
くっ……、ダメ。
このままでは、砕ける……!
???:
……藍。あのこと、くれぐれも頼んだわよ……。